不動産活用ネットワークは、不動産オーナーのお困りごとに対して最短最適な解決策を提供するために、企業の垣根を越えて協力し合うことを目的とした不動産業のプロ集団です。 Q&Aコーナーではオーナー様からのお悩みと専門家による解決方法をご説明いたします。
今回のご相談
台風シーズンを迎えるので、オーナーとして何か事前に対策できることがないか考えています。
オーナーができることはあるのでしょうか?
オーナー様のご自宅と違い、賃貸住宅には共用部と入居者さんがお住まいの専有部がありますので、入居者さんの協力も必要です。
すぐにできる対策もありますが、日ごろから準備しておかなければならない対策もありますので、今のうちに準備しておくと良いでしょう。
まずは強風で飛びそうなものをチェックしましょう。
台風で起こりがちなトラブルは、強風で物が飛ぶことです。ゴミ用のポリバケツが散乱して中身が散らかったり、食品類の定期宅配の発泡スチロールの箱が飛んで無くなってしまったりするので、敷地内に置いてある飛びそうなものは固定したり、風の影響を受けないところに避難させましょう。
共用部やバルコニーに置かれた植木鉢が倒れて割れたり、フェンスに取り付けてある入居募集看板がワイヤーや結束バンドが劣化で切れてしまうことがあります。万一飛んで人や車などに当たると大変なので、植木鉢などは建物内に取り込み、看板類は劣化具合によっては一度外しておく方が良いでしょう。
大型の台風では、駐輪場の屋根が一部割れたり剥がれたりして飛んでしまうということも時々起こります。大抵は既にヒビが入っている部分や、一部ネジが効いておらず浮いている部分なとから割れて飛ぶので、状態を確認しておきましょう。
台風による雨水がきちんと流れるかを確認しましょう。
近年では、台風時に集中豪雨による被害が発生する地域も少なくありません。
特にチェックしておいて欲しいのが雨水が流れる場所の排水口の状態です。特に緑豊かな地域では、共用部にある排水ドレンの中に落ち葉や泥が入って堆積してしまいがちです。その状態で大量に雨が降ると排水スピードが追い付かず、エントランスや廊下などに雨水が流れ込む被害が発生する場合があります。
周辺の地面の高さより低い部分に駐輪場、駐車場、機械室、居室等がある物件は特に注意して下さい。雨量のせいではなく排水ドレンが詰まっていることが原因で浸水した場合には、オーナーの管理責任が問われる可能性があります。低い場所に位置する電気の盤やポンプなどが浸水すると大きな被害を引き起こしますので、必ず確認しておきましょう。
また、マンションの各居室のバルコニーの排水口は、外部から確認したり掃除したりできないため、縦樋のある部屋の入居者の方に声がけをすると良いでしょう。バルコニーの形状によっては雨水が排水されずに高水位となり、室内に入り込む場合もあります。
屋上のある建物は、屋上の排水口も確認しておくと良いでしょう。
火災保険の証券はありますか?内容を確認しておきましょう
注意していても被害が発生してしまった時に、心強いのが建物の火災保険です。
全ての火災保険は「風災・雹災・雪災」を担保していますが、「水災」がオプションである商品が多いため、加入されている火災保険の内容を確認しておきましょう。「水災」は台風による集中豪雨による洪水や、排水あふれ等によって床上浸水もしくは地盤面より45cmを超える浸水を被った結果、保険の対象に損害が発生した場合、または再調達価額の30%以上の損害が発生した場合に補償されます。
保険証券がどこに行ったかわからないという方は、この機会に再発行手続きをしておきましょう。
建物にもともと問題があり、それが原因で台風の雨による水濡れ被害が生じた場合には、火災保険の補償の対象外になります。雨漏りなどは日ごろからきちんと修繕しておきましょう。
台風被害は事前の備えで軽減できるものもあります。
一度起こってしまうと被害甚大になりがちなのが台風の被害です。
しかし、ただ手をこまねいているのではなく、日頃からの建物管理と入居者さんとのコミュニケーションにより、台風の被害を防いだり、軽減させたりできる部分があります。
大型台風上陸のニュースで慌てないように、今台風が来たらどうなるのか?と言う目線で日頃から物件の状況を点検したり、対策を考えてみると良いでしょう。