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不動産の相続はトラブルになりやすい?

不動産活用ネットワークは、不動産オーナーのお困りごとに対して最短最適な解決策を提供するために、企業の垣根を越えて協力し合うことを目的とした不動産業のプロ集団です 。 Q&Aコーナーではオーナー様からのお悩みと専門家による解決方法をご説明いたします。

今回のご相談

不動産オーナー
不動産オーナー
不動産を所有しています。不動産の相続はトラブルになりやすいと聞きましたが、本当でしょうか。また、有効な相続対策を教えてください。
豊福哲矢
豊福哲矢
昨今、相続は「争続」となってしまうことが増えています。特に不動産については、現金と違い均等に分割することが非常に困難なため、トラブルの種となることがあります。相続でトラブルが発生してしまうことは故人にとっても大変悲しいことです。そのため、まずは不動産の相続方法にはどのような方法があるのか、そして、相続対策としてどのようなことをしないといけないのか、今回はご紹介したいと思います。

「争続」は他人事ではない? 気を付けたい相続トラブル

相続を「争続」と言い表すことをご存じの方は多いのでないかと思います。争続とは”遺産分割をめぐる相続人間のトラブル”のことを表した言葉です。「自分の家族は仲が良いから大丈夫」と考えてはいませんでしょうか。実は、相続を巡るトラブルは、裁判所が公表している「遺産分割事件」の件数だけでも、1万3040件(2018年)にものぼります。その年の国内の死亡数はおよそ136万人なので、100人に1人の割合で裁判所に持ち込むようなトラブルにとなっていることになります。遺言書がない場合は、原則として、相続人間の話し合いである「遺産分割協議書」で相続財産をどうわけるか決めることになります。相続人間というのは、つまり、兄弟や親子などの親族間で話し合うわけですから、多くの人が「トラブルにはならないだろう」と思う気持ちもわかりますが、実際には、少なくない方々が争っており、決して争続は他人事ではないようです。

日本の相続は不動産のトラブルが多い

相続の対象になる資産は土地・建物といった不動産から株式などの有価証券、現預金などなどさまざまです。日本の場合は家計資産に住宅と宅地が多く含まれるため、日本で起きる相続は大部分が不動産の相続といっても過言ではありません。遺産分割事件を遺産内容別にみると、遺産の中に不動産を含んだ事件が約8割を占めておりますので、相続トラブルの多くが不動産に端を発していることが伺えます。そのため、トラブルになる可能性がある不動産については、不動産を多く所有しているオーナーの方は尚のこと、名義など現状を正確に把握し、誰に相続させるか決めるなど対策を準備しておくことが重要といえます。

なぜ不動産の相続はトラブルになりやすいのか

相続で分けやすい資産の代表格は現金です。不動産がトラブルになりやすいのは、現金のように均等に分割することが難しいからです。ご自宅(建物・土地)の相続が発生するケースは不動産の相続で最も多いかと思いますが、不動産の相続では主に4つの相続方法が考えられますので、ご紹介いたします。

①共  有・・・相続する不動産を複数の相続人の共有名義とする方法
②現物分割・・・相続した財産をその形状や性質を変更することなくそのまま相続する方法
③換価分割・・・相続する不動産を含み現金以外のすべての財産をお金にかえて分割する方法
④代償分割・・・特定の相続人が不動産などの現物を相続する代わりに、他の相続人に金銭などを支払い調整することで分割する方法

それぞれご紹介すると長くなってしまうので割愛しますが、特にトラブルにつながりやすいと言われているのが、共有相続です。

共有相続のデメリットと問題点

たとえば、ご両親が亡くなり兄弟がご自宅を相続する際に共有相続を選ぶケースがあります。その時は相続人である兄弟は若く仲が良かったかもしれません。特にご両親が亡くなった後は、結束力が強くなっていたりするため共有相続を選ぶことがあります。ところが、そのときは共有相続で良かったとしても、将来的に意見が食い違うかもしれません。たとえば、長男が「お金が必要になったので、自分の持ち分の土地を売却したい」と言ったとしますが、その土地が共有名義の場合は、次男が同意しないと、長男の持ち分のみを売却することはできません。兄弟が多ければ、意思を統一することはより困難となります。さらに共有相続の問題は、相続が繰り返されることで発生します。共有名義の相続人に相続が発生すると相続人の次世代の子供が共有名義人になることがあります。こうして相続が発生するたびに、共有名義人が増えたりすると、関係の遠い者同士で不動産を共有することにもなったりしますので、より各人の思惑に違いが出てきますし、衝突も増えてしまうということになります。

遺言書を書くことが相続対策の第一歩

遺言書があると相続はスムーズに進みます。たとえば、お墓一つをとっても、家族内で「お墓はいる・いらない」と意見が割れてしまうこともあります。その時に、本人の言葉で「お墓はいらない」とメッセージを残されていると、家族内での勝手な意見や思い込みがなくなるため、スムーズに話が決まります。遺言書の中に、「財産分与で身内同士で争ってほしくない」と一文でもあると、家族内でもはっと我に返ることもあるのです。そこで重要なことは、第三者が見てもわかる「遺言書」でメッセージを残すことです。遺言書がなくても、民法で定められた相続割合(法定相続分)があり、法定相続分できっちりと分けることも可能です。しかし、相続人が複数いれば、当然のこと、相続人それぞれに言い分や思惑があるはずです。そこからの小さないざこざが大きなトラブルに発展して、収拾がつかなくなってしまうこともあります。だからこそ、遺言書が必要なのです。遺言書は故人の意思ですので、遺留分を大きく侵害する理不尽な内容でなければ、通常は相続人たちも納得していただけるではないでしょうか。遺言書は争続を防ぐ最後の砦になるのです。

 

 

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豊福哲矢
豊福哲矢
藍澤證券株式会社ソリューション第一部アシスタントマネージャー。日本アジア証券株式会社(現藍澤證券株式会社)に入社後、営業経験を経て、公開引受部門に異動。上場準備支援業務に従事し、藍澤證券株式会社との合併後は、M&A、ストックオプション等といった企業の事業戦略サポートに取り組む。