加盟社リレー寄稿Q&A

不動産オーナーに相続が発生した場合の手続きについて留意すべき点を教えてください。

不動産活用ネットワークは、不動産オーナーのお困りごとに対して最短最適な解決策を提供するために、企業の垣根を越えて協力し合うことを目的とした不動産業のプロ集団です 。 Q&Aコーナーではオーナー様からのお悩みと専門家による解決方法をご説明いたします。

今回のご相談

不動産オーナー
不動産オーナー
不動産オーナーである父が死去いたしました。相続手続きについてある程度知見はあるのですが、不動産オーナーが死去した場合に特に留意すべき点がありましたら教えてください。
後藤類
後藤類
相続が発生した場合には、死亡届の提出から始まり、さまざまな手続きが発生いたします。
その中でも不動産オーナーが亡くなった場合の手続きについて特にご留意いただきたい点は下記となります。

・賃貸借契約の引継ぎ
・振込先口座の変更
・名義変更
・準確定申告

以下でそれぞれについて詳しく見ていきます。

賃貸借契約の引継ぎについて

賃貸人である不動産オーナーが死亡した場合、賃貸借契約の内容について、再契約せずとも従前通り、そのまま相続人に引き継がれます。
賃貸人としての地位も相続人に相続されるため、相続人が新たな不動産オーナーになるのです。
ただし、契約書に記載してある氏名が死亡した不動産オーナーのままであると、時間の経過とともに、新しい賃貸人と賃借人の間で、本当に有効に契約が成立しているのか曖昧になるという不都合が生じる可能性があります。
そのため、不動産オーナーが死亡した場合、お互いの認識確認のためにも、賃貸借契約書を作り直して最新の契約当事者同士で署名押印するということを行ったほうが良いでしょう。

振込先口座の変更について

借主に対して振込先口座の変更をお知らせすることも重要な手続きとなります。亡くなった方の銀行口座は、亡くなったことを銀行が把握した時点で凍結され、引き出しや入金もできなくなります。なお、役所に死亡届を提出したからといって、銀行口座が凍結されるわけではありません。ただ、いつかは亡くなったことを銀行に知らせる必要があります。そうすると入金ができなくなってしまい、賃借人に迷惑をかける事になってしまうため、不動産オーナーの死亡後、借主にはできる限り早く振込先口座の変更を案内するべきでしょう。

不動産の名義変更について

故人が所有していた土地、家屋は不動産登記がなされています。したがって、その土地・家屋を相続した人の名義に登記記載事項を書き換える必要があります。
その名義書き換えに関して、下記の民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱案が提出されております。

【改正等に関する要綱案】
不動産の所有権の登記名義人が死亡し、相続等による所有権の移転が生じた場合において当該不動産の所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から3年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。正当な理由がなく申請を怠った場合は10万円以下の過料が課される。

上記の要項案は2023年度の施行に向けて動いているようです。
名義変更をしていない不動産に対して、後々になって登記をしなければならないようなケースでは過去の経緯をすべて追う必要があり、関連者すべての登記簿謄本を取得する必要があるなど相当大変な作業になりますので、早めに名義変更をするようにしましょう。

準確定申告について

準確定申告とは、被相続人が確定申告を要するような所得を有していた場合、相続人が、1月1日から死亡した日までに確定した所得金額及び税額を計算して、申告と納税をする制度を言います。期限は相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。
また、準確定申告書には相続人全員の氏名を記載した付表を添付する必要があります。
なお、被相続人が亡くなったのが1~2月くらいの年の早いうちである場合、合計所得金額が基礎控除の48万円を超えないことがありますが、この場合は課税所得が発生しないため、準確定申告をしなくても特段問題は生じないと考えられます。

不動産の相続については早めに専門家に相談しましょう

以上、不動産オーナーが死亡した場合の留意点について見てきました。
不動産は容易に現金化できない割に資産価値は高いため、相続の際の遺産分割協議で問題となる場合が多々あります。遺産分割協議で揉めないためにも早めに税理士等の専門家にご相談ください。なお、弊社(あいわ税理士法人)では相続に関するご相談(初回のみ)は無料となりますので、相続・贈与関係でお困りの方は一度弊社にご相談いただければと思います。

 

 

 

ABOUT ME
後藤類
後藤類
あいわ税理士法人 税理士 広く社会の役に立つ仕事をしたいという思いから税理士を志す。 大学卒業後、一般企業(営業職)勤務を経て2016年9月あいわ税理士法人入社。 国内の上場企業、ベンチャー企業、オーナー企業に対する税務コンサルティングに従事。