加盟社リレー寄稿Q&A

テナントと会う機会が減少し、今後のリレーション方法について悩んでいます。

不動産活用ネットワークは、不動産オーナーのお困りごとに対して最短最適な解決策を提供するために、企業の垣根を越えて協力し合うことを目的とした不動産業のプロ集団です 。 Q&Aコーナーではオーナー様からのお悩みと専門家による解決方法をご説明いたします。

今回のご相談

不動産オーナー
不動産オーナー
普段、建物の不具合や要望を聞くためにテナント訪問を定期的に行っていたのですが、コロナ渦の昨今、直接会って話をする事ができなくなり、リレーション不足に悩んでいます。いろいろな方法を模索しておりますが、なかなか良い方法がみつかりません。
須田整
須田整
コロナ渦の状況で直接的な対人接触を避けつつも、適度なコミュニケーション、リレーションを取っていきたいという事は、一見相反する内容に思えますが、さまざまなリレーションツールの活用により、そういった問題を解消できます。私どもが実践している事例のひとつとしてデジタルサイネージを設置し、テナントリレーションのツールに使用しているケースをご紹介します。

デジタルサイネージの活用方法とは?

ビル内のエレベーター前など、人がよく通る場所に設置して、テナントへ向けた情報配信に利用することができます。デジタルサイネージの活用で、ビル共用部を効果的なリレーションの場と位置付けることができます。
デジタルサイネージを使って日々の建物内の管理作業のお知らせはもとより、ニュース、天気予報、最寄りの避難場所の案内や飲食店舗のグルメ情報など、情報の伝達が不十分とお困りの場合、デジタルサイネージによる伝達は効果的です。現在は個別の企業でも社内での情報共有を円滑、かつサイレントに進めることを可能にするツールとして多く活用されています。

単なる伝達手段だけでなく、リラクゼーション効果も?!

当社の保有ビルでは、昨年1階の共用部を改修して、テナント専用のラウンジを作りました。デジタルサイネージはエレベーターの前とラウンジ内の2ヶ所に設置しています。
今後はエレベーターの前で配信する内容とラウンジ内で配信する内容を意図的に変更していく予定です。エレベーター前で配信する内容は、短時間で頭に入る伝達情報を中心に、ラウンジ内での配信内容は、世界各国の美しい風景画像や、近隣店舗のグルメ情報などテナントの休息の場としてふさわしい内容を配信することで、さらにテナント満足度を向上していくツールとして活用していく予定です。

設置の初期費用、ランニングコストはほとんどかかりません!

不動産オーナー様にとって、何の設備を設置するにしても費用負担が気になる所ですが、多くのデジタルサイネージの設置・運営業者からは、設置時の初期費用がほとんどかからないプランを提案していただけます。これには理由があり、配信内容の中に一定時間含まれる広告枠の活用というのが一因です。より多くの広告主を見つけてさまざまな広告の配信をすることにより、多額の広告料収入を得ることがサイネージ設置・運営業者と主たる事業目的となっているからです。ランニングコストについても月額の電気料(月額数百円程度)の負担だけで、配信の不具合などのメンテナンスについても設置・運営業者の方で責任をもって実施していただけます。

その他のサイネージ活用方法について

先ほど触れた広告枠の活用手段として、ビル内のテナント企業の広告を配信するサービスを検討しており、すでに実施に向けてテナントと打ち合わせを進めています。その企業様は、映像翻訳を主たる事業としておられ、多言語の翻訳技術や映像制作など希少性かつ品質の高い技術をお持ちです。以前から自社HPからの問い合わせのルートでかなりの高確率で案件成約に至ることから、更に自社のサービスをさまざまな媒体で広告していく必要性を感じていたそうで、比較的安価で掲載できるビル内の広告から始めてみよう、ということになり、今までとは違ったテナントリレーションを構築する手段にもなっています。

今後のテナントリレーションツールについて

今回はデジタルサイネージを新たなリレーションツールの事例として挙げましたが、今後はデジタルサイネージとさまざまなツールを連動させて多面的なコニュニケーションやテナントサービスを実施することも考えています。たとえばテナントからビルに関するアンケートをWeb形式のアンケートで募り、その集計結果とその結果に基づいた今後の改善方法を配信したり、CO2センサーやセキュリティの認証履歴を使って、共用エリアの混雑状況をデジタルサイネージでタイムリーに配信したり、配信広告の反響結果をAIで分析し、テナントリーシングの活用に利用するなど、直接会うことはできなくても継続的かつタイムリーにテナントリレーションを取っていく方法を更に模索していきたいと考えています。

 

 

ABOUT ME
須田整
須田整
三井不動産グループのPM会社にて、オフィスビル、ホテル、リテールなどあらゆるアセットタイプのPM業務、売買仲介業務、賃貸仲介業務、管理受託営業業務を経験し、物件受託から運営・管理、不動産売買取引まで一連の業務の全てのフローを体得。 それ以前は、株式会社ナカノフドー建設にて、契約、物件引渡、建設業経理、建築受注営業業務等を担い、建築分野の経験・知識・知見を得る。 一部上場不動産会社にて不動産再生事業に携わった後、2016年11月AAAコンサルティング株式会社入社。新規事業開発を中心に、売買仲介、英語力を活かし海外投資家向け営業業務等も担当。建設・不動産業務の幅広い実務を経験。 2018年8月より高砂熱学工業株式会社入社、不動産事業開発部に所属し、事業用賃貸不動産、再生事業向け不動産の取得、大規模開発事業への出資及びプロジェクト参画、そして高砂熱学グループでのPM事業拡充を担う。