加盟社リレー寄稿Q&A

不動産投資とREITの違いはなんですか?

不動産活用ネットワークは、不動産オーナーのお困りごとに対して最短最適な解決策を提供するために、企業の垣根を越えて協力し合うことを目的とした不動産業のプロ集団です 。 Q&Aコーナーではオーナー様からのお悩みと専門家による解決方法をご説明いたします。

今回のご相談

不動産オーナー
不動産オーナー
不動産投資を検討していますが、ローンを組むことに不安を覚えます。そこで、REITを活用して、余裕資金のみで不動産投資を始めたいと考えています。REITの仕組みや不動産投資との違い、メリット・デメリットを教えてください。
金丸和樹
金丸和樹
REITは、不動産投資の諸問題を解決する仕組みです。「預貯金」+「有価証券」+「不動産」をそれぞれ組み合わせて分散投資することで、変化率を抑えつつ、安定してリターンを得ることが期待できます。 ただし、一般的な不動産投資と同様に、REITについてもレバレッジ効果のリスクが存在します。 REITのリスクを正しく理解し、分散投資を意識しながら、REITと付き合っていくことが肝心です。

REITとは?

REITは、「Real Estate Investment Trust」の略称で不動産投資信託を指します。多くの投資家から集めた資金でオフィスビルや商業施設、マンションなど複数の不動産を購入し、その賃貸収入や売買益を投資家に分配する金融商品です。特に日本国内の不動産に投資するものを「J-REIT」と呼びます。
ご存知の通り、不動産投資は株式や債券に比べると賃料等の安定した収益を得られる一方、①多額の資金が必要、②流動性が低く、取引価格も分かりにくい、③不動産の管理が必要等の課題もあります。REITはこうした不動産投資の諸問題を解決する仕組みになります。

不動産投資とREITの違い

①多額の資金が必要
不動産への直接投資では、数千万から数億円の金額を借り入れて投資することが一般的です。失敗したときのリスクは大きく、投資には慎重にならざるを得ません。REITは不動産を小口証券化することで、少額から不動産投資が可能です。また、ポートフォリオに占める不動産の割合をコントロールすることが容易となり、分散投資に役立てることが可能です。
②流動性が低く、取引価格も分かりにくい
REITは証券取引所に上場することで、流動性を確保します。これによって、上場株式と同様に世界中の投資家によって売買され、日々変動する価格をリアルタイムで知ることもできます。また、指値注文や成行注文のような注文方法の選択も可能です。
③不動産管理が必要
REITは投資家の代わりに不動産投資法人が不動産賃貸業を行います。投資家は、入居者募集から納税までの「大家さん」としての煩わしい業務を行う必要がありません。

REITの魅力「資産三分法」

「卵は一つのカゴに盛るな」の格言の通り、投資には資産分散によるリスク抑制が重要です。
分散投資の目安に「資産三分法」というが言葉あります。異なる性質を持つ3つの資産を保有することで、リスク(振れ幅)を抑えつつ収益の安定化を図る手法です。代表的な組み合わせに「預貯金」+「有価証券」+「不動産」があります。流動性の高い「預貯金」、収益が期待できる反面リスクもある「有価証券」、実物資産として安定した収益が期待できる「不動産」をそれぞれ組み合わせます。
ここで、過去の資産別パフォーマンスを確認してみましょう。図は国内株式(TOPIX)、国内REIT(東証REIT指数)、預貯金の過去5年間の年次リターンになります(なお、預貯金については値動きがないものと仮定)。ご覧の通り、順位表の1位の資産クラスを当て続けることは困難です。 一方、3資産に均等に分散投資した場合、変化率を抑えつつ、安定してリターンを得ることができました。
資産の割合については、ライフステージや投資環境に合わせてリバランスを実施する必要がありますが、売買の容易なREITを活用することで、機動的なリバランスの実施が可能になります。

REITの落とし穴「レバレッジ効果」

最後に、REITが持つ特性である「レバレッジ効果」を解説します。
REITの保有する不動産の全てが投資家からの出資によって賄われているわけではありません。REIT運用でも、一般的な不動産投資と同様に、金融機関から融資を受けることで投資効率の向上を目指します。REITの借入金比率を示すLTV(Loan to Value)は、REITへの投資の際には、必ず確認したい指標です。
例えば、LTV70%であったならば、私たち個人投資家から集めた投資資金の2倍以上の金額が借入金によって賄われていることになります。ここで、注意すべきは「不動産価格が変動しても、借入金は変動しない」ということです。図2は、不動産価格が上昇した際に、LTVが投資資金に与える変化率になります。まさに「てこの原理(レバレッジ)」のようにLTVが高いほど投資効率が高まることが分かります。
ただし、不動産価格が下落した際は”逆”レバレッジ効果が働くことになります。ここに、REITの落とし穴があります。

REITとの付き合い方

REITについて、一般的には「家賃収入による安定的な収益が期待できる」という側面ばかりが注目される傾向にあります。しかし、図1で確認したように、REITのボラティリティーは決して低いとは言えません。また、図2で確認したレバレッジ効果のリスクも無視できるものではありません。現実にはLTVは40~50%が一般的ですが、「安定的な収益=安全」という認識は改めるべきでしょう。
REITのリスクを正しく理解し、「資産三分法」を意識しながら、REITと付き合っていくことが肝心です。

 

 

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金丸和樹
金丸和樹
アイザワ証券株式会社ソリューション部スタッフ。2020年入社後、証券仲介業務を経て、金融分野の経験・知識・知見を得る。現在の部署に異動後は、顧客の相続サポート・経営サポート・不動産活用サポートに取り組む。