加盟社リレー寄稿Q&A

底地(貸宅地)を相続する予定です。どのような準備をしておけばよいですか?

不動産活用ネットワークは、不動産オーナーのお困りごとに対して最短最適な解決策を提供するために、企業の垣根を越えて協力し合うことを目的とした不動産業のプロ集団です 。 Q&Aコーナーではオーナー様からのお悩みと専門家による解決方法をご説明いたします。

今回のご相談

不動産オーナー
不動産オーナー
先祖代々引き継がれてきた底地を父が所有しています。父の年齢からそろそろ相続のことを考え始めました。底地については、私が引き継ぐ予定ですが、仕事をしていることもあり、父のように地主業にかかりっきりになることもできません。そのため相続するにあたり不安です。まずどのようなことから始めたら良いですか?
村木彩
村木彩
底地(貸宅地)を相続されるにあたり懸念要素や不安材料は、大きく2点あると考えます。1点目は相続税です。底地も相続財産ですので、相続される底地の評価額によっては相続税が発生する可能性があります。そのため、納税資金のご準備状況を確認する必要があるという点です。場合によっては、相続される予定の底地(貸宅地)を一部売却され、納税資金について確保する必要があります。2点目は、底地(貸宅地)の管理です。底地(貸宅地)は、管理が煩わしい不動産です。維持管理をするために、まずは相続予定の底地(貸宅地)の状況を把握され、ご自身で管理されるのかもしくは管理を委託されるのかについてご検討されることをお勧めいたします。

まずは、底地(貸宅地)の状況を確認しておきましょう

底地(貸宅地)によっては、かなり長い間借地権者様に土地を貸されているケースも多く、契約書自体がないことも多々あります。その場合、契約内容がノートなどに記録されていれば良いですが、『現在所有されているご両親の頭の中のノート』というケースも少なくありません。そのような状態で、急に相続が発生し、底地(貸宅地)を引き継がれることになったら大変です。そのため、契約書の有無に加え借地権者様に関する内容地代に関する内容契約期間に関する内容について、現在所有されているお父様に聞かれ、状況を把握されておくことをお勧めいたします。また契約書を締結されていても契約書上に記載されている内容と現在の状況が異なっているというケースもあります。そのため、契約書がある場合でも今一度現在の状況の確認は必要とお考えください。

借地権者様に関する内容について

借地権者様側に相続が発生し、現在誰が真の借地権者様なのか把握できないというケースが最近多いようです。
借地権も底地(貸宅地)と同じように相続財産となります。そのため、相続が発生したならば、底地(貸宅地)と同じように借地権者様の相続人間で話し合われ、借地権と借地権上の建物の相続人を決められる必要があります。とはいえ、相続というお話はなかなか身近に感じられにくい事柄のためか、相続人間で話し合われずにその借地権上の建物に住み続ける方が、地代を支払っているという状況も少なくないようです。しかしその方が借地権と借地権上の建物の権利を有していない可能性もあります。地代を支払っている方が借地権者様であるかというと必ずしもそういうわけではないということです。地代の支払いが滞らなければ問題がないように感じられるかもしれませんが、地主様として誰にどの土地を貸しているのかを特定されることをお勧めいたします。

地代に関する内容について

底地(貸宅地)の特徴の一つに地代の内容が借地権者様によって異なる点があります。1坪当たりの地代算定単価や契約面積が各借地権者様によって異なるため、結果として地代金額が異なります。加えて、地代の支払い状況も異なります。1ヶ月ごとに払う方や年払いの方、持参する方や振込の方、当月分先払いの方や当月分後払いの方など各借地権者様によって細かく異なるため、おそらく想像されている以上に管理が煩わしいと感じられると思われます。またごくごく稀に借地権者様が支払いを忘れられ、地主様が都度都度催促しなければならないという状態が発生していることもあるようです。
地代に関することですと、相続後地代の金額が想像よりも低かったため、自ら借地権者様と交渉した結果、トラブルになってしまったという地主様も少なくないようです。お考えになられることは、大変よくわかりますが、借地権者様の意向もありますし、時間をかけ、話し合われることが必要となります。そのため、相続されるのであれば、地代の金額状況などを確認され、相続前から少しずつ借地権者様と交渉されるなど対策を講じられることをお勧めいたします。

契約期間に関する内容について

底地(貸宅地)は、上記に記載しました通り、契約書がなく、契約期間が不明であるという場合も少なくありません。そのため、通常であれば20年ごとに訪れる更新時期について地主様借地権者様双方の認識と異なる場合があります。
また貸家と異なり契約期間が長期となることから、更新時期を忘れられてしまうこともあるようです。もちろん更新時期を迎えても契約が終了するわけではありませんが、更新時期は借地権者様と契約内容を再認識される機会だと考えると大変重要なタイミングだと言えます。また更新料については、契約書に具体的な金額が記載されていれば良いですが、少し古い契約書ですと金額の記載はなく、更新料の支払いについてのみ記載がある内容が多いと感じています。金額の記載がないため、地主様と借地権者様双方のご意向がまとまらないということも多いですので、各借地権者様から過去に更新料を受け取られた経緯があるのか否か、受け取られた場合は金額とその根拠などを確認しておきましょう。

上記を確認後、少しでもご不安が残りましたらご相談下さい

不動産の賃貸借契約であるにも関わらず、契約書がない状態は賃料や契約期間について不明確な状態です。もちろん口約束でも契約関係は成立いたしますが、後々トラブルになる可能性があります。誰が借地権者様なのかわからない状態は不自然な状況ですし、地代金額や更新料について助言を受けずに交渉されるのは精神的なご負担が大きいと考えます。
そのため、上記を確認され感じられた不安材料をどのように取り除くのかという点ですが、ご自身で管理をされるよりも管理を委託され管理会社を間に入れ、交渉をされたほうがよいケースもあると思われます。
当社では、管理をしながら今起こっているトラブルや将来起こりそうなトラブルなどを想定し、地主様や借地権者様に安心いただける底地の管理サービスを提供しております。そのため、相続されるにあたり少しでも不安があるようであれば、ご相談ください。
また当社は底地の買取事業も行っております。売却されることにより相続税対策となる可能性もあります。査定させていただき、相続されるのか整理されるべきなのかの判断の一つにお役に立てていただきたいと考えておりますので、ぜひご相談ください。

 

 

ABOUT ME
村木彩
村木彩
株式会社サンセイランディック ウェルスマネジメント部担当課長/宅地建物取引士/不動産後見アドバイザー 2004年サンセイランディック入社。入社以来、数々の底地・低収益建物等の売却相談に対応、買取り後の借地権者・借家権者との権利調整現場にも携わり、2016年横浜支店在籍、2018年コンサルティング部在籍となる。2007年・2012年2度の産休育休を経て、現職。