加盟社リレー寄稿Q&A

税務調査について詳しく教えていただけないでしょうか?

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今回のご相談

不動産オーナー
不動産オーナー
先日不動産貸付業を行っていた父が亡くなり相続税の申告を行いました。知り合いの不動産オーナーに聞いたところ税務調査では家の中のタンスや引き出しを勝手に開けられたり、名義預金が問題になることがあるそうなのですが本当のところはどうなんでしょうか?
後藤類
後藤類
税務調査は相続税の申告から1~2年後に行われることが多く、納税額が多い人ほど、調査に入られやすい傾向にあります。相続に関してはさまざまな噂がありますが、タンスや引き出しを勝手に開けられることはありません。また、名義預金は相続の調査で論点となることが多いです。今回は相続税の税務調査について皆様の疑問にお答えしたいと思います。

相続税の税務調査はどのような感じなのでしょうか?

一般的な税務調査(実地調査)の当日のスケジュールは下記の通りです。 相続税の調査スケジュールなどは事前連絡の時に決めることになりますが、被相続人が生前住んでいた家もしくは相続人代表の自宅で行います。10時から始まり16時頃に終わるというスケジュールが一般的です。

午前の部(10時~12時くらい)
相続人へのヒアリングが基本です。ヒアリングと言っても被相続人の仕事や趣味など世間話的な会話をしてくることが多く、相続税の申告に直接関係のないと思えることを聞いてきます。ただし、どのくらいの収入があったのか、お金はため込んでいたのではないか、退職金があった会社ではないか、趣味の道具で高価なものを持っていたのではないかなどを探ってきていることが多く油断は禁物です。

昼休憩(12時~13時くらい)
調査官はいったん中座します。調査官は公務員なので金品の受取は禁止されており、昼食を用意する必要はありませんが、お茶程度なら用意してもいいでしょう。

午後の部(13時~16時くらい)
午前中のヒアリングや事前に調べてきている内容から家の中を相続人に案内させ実物をチェックしたり、核心に迫る質問をしてきたりします。税務調査は実地調査後一定の期間ののち(案件によっては数カ月かかることもあります)調査結果の連絡が来るため、今後のスケジュールや論点になっている部分の総括が行われます。この時点で調査官と見解の相違がある場合には交渉を行います。

このように実地調査は1日で完了することが多いですが、その後も調査官とのやり取りは続き、最終的に申告書を訂正するか不要かの決着まで調査は続くことになります。

家の中のタンス・引き出しを全部開けられるって本当ですか?

任意の税務調査では納税者のプライバシー保護の観点から、調査官は家の中のものを勝手に触れることはできません。

税務調査において、申告もれを指摘されやすいのは現金預金です。国税庁の統計によれば申告もれ相続財産に占める割合はトップです。そのため調査官は実地調査の際に、申告もれの現金や預金口座がないか相続人に確認をしてきます。ヒアリングによることが基本ですが、被相続人の家での調査の場合、家の中のタンスや引出しに現金が隠されていないか、怪しい預金口座の通帳が出てくるのではないか疑いを持っています(いわゆるタンス預金や隠し口座がないか疑っています)。

しかし、通常の税務調査はあくまでも任意調査であるため調査官が勝手に家の中のものに手を触れたり、開けたりすることはできません。そのため、調査官は確認をしたい場合には相続人にタンスや引出しを開けるよう依頼して確認をします。

仮にタンス預金や隠し口座の通帳らしきものが見つかってもまず確認するのは相続人となります。調査官は税務調査の前に事前に預金口座の取引履歴を調べている(被相続人だけでなくその家族、親族の口座も調べている可能性があります)ため、タンス預金や隠し口座に関して、税務署は実地調査までにある程度の確信を持って税務調査にやってくるのです。

孫名義の預金は相続財産に加算されるのですか?

孫名義の預金が孫の管理下で自由に使うことができていた場合には、相続財産に含める必要はありません。
祖父母が孫のために大きくなったら渡そうと孫の名義で預金をしていることは少なくありません。祖父母が亡くなってから孫名義の通帳が見つかり、その通帳を孫に渡すことにしたというケースをよく耳にします。

この孫名義の預金は、相続税の計算をする上では、祖父母が孫の名義を借りて預金していたに過ぎず、祖父母の財産であると考えられるため、その全額を相続財産に含めることとなります。このように亡くなった人の名義ではないけれど、亡くなった人の財産に含めなければならない預金のことを名義預金と言います。

孫名義の口座は、祖父母が長年にわたり贈与してきたお金です。贈与税の時効は6年なので、6年より前の預入については相続財産に含める必要はないのではと思われるかもしれませんが、全額が相続財産となります。

生前贈与は、贈与者(祖父母)と受贈者(孫)との契約であり、成立するためには祖父母の意思だけでなく孫の同意が必要です。孫が通帳の存在を知らなかった場合には、同意があったとは認められませんから、贈与が成立したとは言えません。したがって全額が相続財産となるのです。

このような名義預金については、税務調査で発覚するケースがほとんどです。調査官は預金口座を管理しているのは誰なのか、通帳、カード、印鑑などから確認します。成人していたにも関わらず、口座を管理していたのが、贈与者(祖父母)であるような場合には名義預金が疑われます。
名義預金が疑われないようにするために、通帳、カード、印鑑の管理は受贈者(孫)に任せるようにするとよいでしょう。

また贈与した財産であることを証明するためには、贈与契約書の作成が有用です。贈与契約書に記名押印することによって、受贈者(孫)は贈与を受けた認識があることを証明できます。贈与税の申告を受贈者(孫)が行っている場合には、こちらも贈与があったことを証明する書類となります。
孫に預金をもらった認識があり、孫の管理下で自由に使うことができていた場合には、相続財産に含める必要はありません。

税務調査で慌てないように適正な申告を

相続税の申告書は所得税の確定申告とは違い自分で作成する事は困難です。

あいわ税理士法人ではクライアントファーストの理念のもと、複数の専門家と連携することにより相続に関わる全てのサービスをワンストップでご提供するとともに、ご依頼いただいた業務範囲に留まらない、先の先を見通した遺産分割をご提示することで、相続人の皆様にご納得いただける相続を実現いたします。

 

 

ABOUT ME
後藤類
後藤類
あいわ税理士法人 税理士 広く社会の役に立つ仕事をしたいという思いから税理士を志す。 大学卒業後、一般企業(営業職)勤務を経て2016年9月あいわ税理士法人入社。 国内の上場企業、ベンチャー企業、オーナー企業に対する税務コンサルティングに従事。