加盟社リレー寄稿Q&A

テナント物件、空きが出てしまいましたが次がなかなか決まりません

不動産活用ネットワークは、不動産オーナーのお困りごとに対して最短最適な解決策を提供するために、企業の垣根を越えて協力し合うことを目的とした不動産業のプロ集団です 。 Q&Aコーナーではオーナー様からのお悩みと専門家による解決方法をご説明いたします。

今回のご相談

不動産オーナー
不動産オーナー
テナントビルを所有していますが、このコロナ禍で入居していたテナントが退去し、その後何か月も次のテナントが見つかっていません。このままの状態でただ待っているだけでは正直不安です。何か手立てはないでしょうか?
西浦明子
西浦明子
店舗の利用ニーズは、長期の賃貸借契約ベースだけではありません。コロナの影響で、むしろ長期契約での出店をリスクと考え、固定費を抑えて短期で利用したい出店者が増えています。次のテナントが見つかるまでの間をシェアリングで短期活用することで、収益化できるだけでなく次のテナントの呼び水にもなるのです。

超一等地のテナントビルが次々空く事態に

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、何度か発出された緊急事態宣言や営業時間短縮の要請により、店舗ビジネスは業種を問わず大きな打撃を受け、撤退を余儀なくされている店舗が増えています。多くのブランドショップが立ち並ぶ表参道・原宿・銀座エリアなど圧倒的な一等地ですら空き店舗が目立つ状況になっています。募集賃料の水準も下がっている中、都心のテナント物件は非常に厳しい状況が続いています。

コロナで変わる出店ニーズ

実店舗を出店する際に発生する多額の初期費用は、このコロナ禍においては一層テナントの出店意欲を抑制するボトルネックになっています。固定費などのコストを極力抑えつつ、継続が難しいと判断した際にはサッと機動的に退店できる短期出店のスキームを望むテナントが増えています。加えて、こうした短期出店は単に出店コストを抑えることができるだけでなく、その場でしか提供できない商品や体験を展開できることから、大手企業をはじめ「ポップアップショップ」という形で新たな商流の1つとして確立されつつあります。

どんな活用方法がある?~居抜き店舗の場合~

たとえば上記写真の元カフェ店舗。内装をはじめ、イスやテーブルなどの什器やキッチン設備などすべてきれいな状態で残っていました。多くの店舗物件はスケルトンに原状回復されてしまいますが、このように内装や什器が残っている方が短期貸しには向いています。次のテナントが決まるまで時間が掛かりそうだと想定される場合は、たとえば退去されるテナントから原状復帰費用を預かっておき、オーナー様ご自身で原状復帰されるような対応があってもよいと考えます。そうすることでテナント募集期間も短期で運用することが容易になります。

どんな活用方法がある?~スケルトンの場合~

正直空き店舗でも、スケルトンになってしまっている店舗は短期利用が難しいのが現状です。ただし、ちょっと手を入れるだけで全体ではなく一部分を短期貸しとして運用させることが可能です。たとえば店舗の店先部分だけベニヤで区切ることで、臨時の催事スペースとして仕立てることができます。大掛かりな工事は不要で、いつでも元に戻せるのでテナントが決まっても安心です。スケルトンになってしまっているので短期貸しはできない…と諦めているオーナー様は一度ご検討いただけると新たな活用方法が見いだせるかもしれません。

テナント募集をしながら短期貸しが今後のスタンダードになる!?

「テナント募集中」の看板がかかったまま、灯りが消えた状態になっているよりも、短期でどなたかが使っていれば長期出店検討中のテナントもイメージが湧きやすく、物件のイメージアップにもつながります。短期でテスト出店して商圏調査を行い、結果次第で長期契約につながるケースもあります。コロナ禍でリスクを抑えた出店にチャレンジする個人事業主の支援や、街の賑わい創出にもつながりますので、まだ短期貸しを試したことのないオーナー様はぜひトライしてみてください。

 

 

ABOUT ME
西浦明子
西浦明子
軒先株式会社 代表取締役 スキマハンター。 大学卒業後、ソニー株式会社等での勤務経験を経て、2007年の妊娠・出産を機に起業を決意。2008年4月に日本初のスペースシェアリングサービス「軒先」代表としてサービスを開始、2009年に軒先株式会社を設立。ポップアップ向けスペースシェアの“軒先ビジネス”、駐車場シェアの“軒先パーキング”、飲食店シェアの”軒先シェアレストラン-magari”を運営。2017年総務省ICT地域活性化大賞・奨励賞受賞。現在、全国の遊休スペースの活用提案に奔走中。