不動産活用ネットワークは、不動産オーナーのお困りごとに対して最短最適な解決策を提供するために、企業の垣根を越えて協力し合うことを目的とした不動産業のプロ集団です。Q&Aコーナーではオーナー様からのお悩みと専門家による解決方法をご説明いたします。
今回のご相談
底地・借地権どちらかでは資産価値を生み出しにくい不動産です
底地(貸宅地)は「土地を所有する権利」、借地権は「土地を使用する権利」と1つの不動産の中に2つの権利が発生している状況です。そのため土地を所有している地主様、土地を使用している借地権者様どちらかの権利だけでは資産価値を生み出しにくいと一般的には考えられています。よって、資産価値を生み出すためには、地主様と借地権者様双方で力を合わせることが必要となります。また地主様と借地権者様のご関係性は、古くから成り立っている場合が多く、歴史や想いがあります。日頃から良好な関係性を築かれること、地主様借地権者様双方の想いを図りながら話合いの折り合いをつけられることが重要です。
選択された手段によっては、関係性が悪くなることもあります
話し合ったけれどまとまらなかった上、関係性が悪くなってしまったということも多いようです。地主様と借地権者様の権利が、相反関係にあることが原因の一つとして考えられます。その結果、強行手段を選択される地主様・借地権者様も中にはいらっしゃるようです。具体的には、今回のケースのように地主様が借地権の返還を希望している場合、建替えの承諾をしないという手段を選択することもあるようです。その結果、借地権者様とトラブルになったという話はよく耳にします。また少しでも収益性を高められようと更新料や建替承諾料、地代金額の値上げを試みられた結果、話し合いが平行線のままとなり、借地権者様が地代等を供託するという手段を選択せざるを得なくなったという相談もよくいただきます。
冒頭にも述べましたが、借地権者様の契約更新や建替えの申し出に対し、地主様が正当な理由なく拒否することは困難です。仮に地主様が承諾をされなかったとしても、前述の借地非訟という裁判手続きをすることにより、裁判所が地主様の代わりに借地契約の更新後の建物の再築の許可等を認めることもあります。
法的手段は、最後の最後の手段とお考えください
裁判手続きにより、話をまとめられる方法は一見して公平性があり、問題がなさそうに思われます。しかし、借地権者様が借地非訟手続きをしている状態は、地主様との関係性が芳しくないと捉えられかねません。
また裁判により借地権の返還を試みられる地主様もいらっしゃるようですが、裁判を起こされたとしてもよほどの事由がないと返還は難しいと思われます。
裁判を起こされたことにより借地権者様との関係性が悪化することも想定できます。理解いただきたいのは、裁判を起こすことで、底地(貸宅地)・借地権の資産価値が下がる可能性がある点です。また最悪の場合、底地(貸宅地)も借地権も売却できないということにもなりかねません。そのため、借地非訟手続きや供託手続き、裁判等の法的手段は最後の最後の方法に残しておいていただきたいと考えます。
地主様借地権者様双方が合意できるところを見つけましょう
本当は話し合ってまとめたかったのに、関係性が悪くなってしまっては、本末転倒です。本当は資産価値を上げるはずだったのに、逆に資産価値が下がってしまっては、元も子もありません。底地(貸宅地)・借地権は、地主様借地権者様双方での歩み寄りが必要な不動産です。固執し過ぎるとまとまるものもまとまらなくなることもあります。そのような事態を招かないためにもお互いの権利や立場を理解して、地主様は借地権者様の希望を、借地権者様は地主様の希望を確認、検討され、地主様借地権者様双方が合意できるところを見つけられるようお勧めいたします。
関係性が悪くなる前に不動産業者に相談してください
いろいろ話し合ってみたけれどもまとまらなかった場合や将来的に借地権の返還を期待され、このまま底地(貸宅地)を所有し続けるという場合もあるでしょう。しかしまとまらないまま所有し続けることが、最良とは限らない場合があります。どこかで見極めをつけられたほうがよい場合もあります。また今回のケースのように借地権の返還を希望されるのであれば、相応の対価を借地権者様に支払う必要があるかもしれません。その場合、借地権の対価の妥当性という視点が必要となります。加えて不動産は法律や税金も関係してくるため、取引の方法によっては法的リスクや多額な税金が発生する場合もあります。法律や税金については、不動産業者はお答えすることはできません。しかし地主様や借地権者様が考えられていらっしゃることをもとに双方のメリットを見出し、リスクを回避する方法をご提案したり、不動産価格についてお調べすることが得意なのが不動産業者です。地主様借地権者様の関係性が悪くなってしまってからでは遅いですので、不動産の専門家である不動産業者に相談されてみてはいかがでしょうか。