加盟社リレー寄稿Q&A

賃貸住宅管理業に新しい法律ができると聞きましたが、オーナーにも関係ありますか?

不動産活用ネットワークは、不動産オーナーのお困りごとに対して最短最適な解決策を提供するために、企業の垣根を越えて協力し合うことを目的とした不動産業のプロ集団です 。 Q&Aコーナーではオーナー様からのお悩みと専門家による解決方法をご説明いたします。

今回のご相談

不動産オーナー
不動産オーナー
賃貸オーナー仲間の知人から、賃貸管理業に新しく法律ができたと聞きました。サブリースについてのトラブルが社会問題になったことがきっかけで法律ができたと聞きましたが、サブリースをしていない私のようなオーナーにはこの法律は関係ないのでしょうか?
伊部尚子
伊部尚子
今回施行された「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」は、いわゆるサブリース契約の適正化のための措置等だけでなく、「賃貸住宅管理業を営む者に係る登録制度の創設」もなされています。2021年6月に施行される予定の賃貸管理業の登録制度では、管理戸数200戸以上の全ての賃貸管理業者は、国土交通省に登録しなければ賃貸管理業を営めないことになります。管理会社に管理を委託している全てのオーナーが知っておくべき内容です。法律の施行によって発生する、賃貸管理業者の4つの義務について解説します。

賃貸管理を行う事務所には、業務管理者の配置が必要になります。

業務管理者とは賃貸住宅管理業務の知識や経験等を有する者のことで、賃貸不動産経営管理士や宅地建物取引士の資格者となることが予定されています。法律施行後は、業務管理者がいない事務所では賃貸管理業務の委託契約が締結出来ないことになります。賃貸不動産経営管理士の資格は、賃貸管理業界で取得が進んできていますが、法律の施行を以って国家資格となる予定です。

管理契約締結前に重要事項説明が必要になります。

宅地建物取引業法の規定に基づき、お部屋を貸したいオーナー様と、借りたい入居者様を仲介する際には、不動産会社は賃貸借契約締結前に重要事項説明を行っていました。それと同じような感じで、管理会社が賃貸管理業務の委託契約を締結する前に、具体的な管理業務の内容や実施方法等についてオーナー様に書面を交付し、重要事項説明を行うことが必要となります。管理委託料の金額だけでなく、「管理会社に何の業務を委託しているのか」を把握することが大切になってきます。

家賃の分別管理が必要となります。

管理会社は管理する家賃等について、自己の固有の財産と分別して管理することが必要となります。オーナー様も、入居者様から受け取る家賃は自己の財産ですが、敷金は預かり金なので、金額が大きくなると同じ口座で管理するのは大変だと思いますし、入居者様側からしたらもっと不安だと思います。賃貸管理業はさらに規模が大きいので、契約の相手方のオーナー様の安心のために、管理会社固有のお金と、オーナー様から預かっているお金を区別して管理しなけれなならなくなります。

オーナー様へ、管理業務の定期報告が必要になります。

現在管理会社に賃貸管理業務を委託しているオーナー様でも、何の業務をどんな頻度で委託しているのか、実際の作業がどのように実施されたのかを把握されていない方は案外多いのではないでしょうか。法律の施行後はそういった賃貸管理業務の実施状況等について、オーナー様に対して定期的に報告することが義務付けられます。報告を受けるオーナー様側も、管理委託契約の内容を把握しておくことが大切です。

賃貸管理の良し悪しが物件価値に影響する時代

賃貸住宅管理業の登録制度は、賃貸住宅における良好な居住環境の確保を図るとともに、不良業者を排除し、業界の健全な発展・育成を図るために創設されました。
入居者様側も建物の管理に対する意識が高まっていますので、オーナー様もこの機会に管理委託の契約内容について精査し、あいまいな部分、過不足のある部分を見直しされると良いでしょう。

 

 

 

ABOUT ME
伊部尚子
伊部尚子
株式会社ハウスメイトマネジメント ソリューション事業本部 課長 賃貸不動産に関わって20年余り。仲介営業、仲介店の店長、管理の現場担当者、管理支店の同社女性初の支店長を経て、現在は金融機関や業界団体等での講演の傍ら、賃貸住宅の企画や収益改善の相談を受ける。上級相続支援コンサルタント、CFP(日本FP協会会員) 、1級ファイナンシャルプランニング技能士 、公認 不動産コンサルティングマスター、DIYアドバイザー