加盟社リレー寄稿Q&A

「不動産テック」って美味しいんですか?

不動産活用ネットワークは、不動産オーナーのお困りごとに対して最短最適な解決策を提供するために、企業の垣根を越えて協力し合うことを目的とした不動産業のプロ集団です 。 Q&Aコーナーではオーナー様からのお悩みと専門家による解決方法をご説明いたします。

今回のご相談

不動産オーナー
不動産オーナー
「不動産テック」とか「DX」とか、最近本当によく聞くようになりました。なんとなく業務をデジタル化させることなのかとは想像するのですが、不動産オーナーにとって何かメリットはあるのでしょうか? パソコンなどのIT機器は不慣れなので、便利になることは取り入れたいと思いつつ、ハードルが高そうで自分にはあまり関係ないと思ってしまうのですが。
西浦明子
西浦明子
昨今「○○テック」という用語は非常によく耳にするようになりました。「業界」x「Technology(技術)」を掛け合わせた言葉で、ある分野・業界がテクノロジーを活用することで生み出した新しい価値や仕組みのことです。
たとえば、Finance(金融)x Technology = FinTech(フィンテック)、Education(教育)x Technology = EdTech(エドテック)、最近ではFemale(女性)x Technology = FemTech(フェムテック)など領域は広がり続けています。不動産業界では「不動産テック」といわれることが多いようです。

不動産テックの基本的な考え方は?

不動産テック協会の定義では、「不動産テックとは、不動産×テクノロジーの略であり、テクノロジーの力によって、不動産に関わる業界課題や従来の商習慣を変えようとする価値や仕組みのこと」です。今まで、紙で扱っていたものを単にデータに置き換えてデジタル化させることだけではなく、新たなビジネスモデルを創造し、事業構造にイノベーションが生まれるようなサービスや製品があって初めて「不動産テック」の定義を満たします。不動産テックにより、新たな価値や顧客体験、QOL(Quality of Life = 生活の質)の向上も期待されています。

具体的になどんな領域でテック化が進んでいますか?

現在、不動産テックと言われるサービスは不動産テック協会が毎年まとめている「不動産テックカオスマップ」によると国内ではその数なんと446にも上ります。主なカテゴリーは以下の通り:

  1. 管理業務支援:管理会社の業務効率化のためのツール
  2. 仲介業務支援:不動産売買・賃貸の仲介業務のためのツール
  3. 不動産情報:物件情報以外の不動産に関連するデータの提供・分析
  4. 価格可視化・査定:データにより不動産価格や賃料査定、将来予測などを行うツール
  5. クラウドファンディング:個人などからWEB経由で資金を集めて行う不動産投資
  6. ローン・保証:不動産取得に関するローンや保証サービスの提供・仲介
  7. 物件情報・メディア:物件情報を集約してWEBに掲載するサービス
  8. マッチング:不動産に関するさまざまなニーズをマッチングさせるプラットフォーム
  9. VR/AR:バーチャルリアリティや拡張現実の技術を用いた機器を活用したサービス
  10. loT:インターネットに接続された機器で不動産に設置されるもの
  11. スペースシェアリング:短期で不動産や空きスペースをシェアする
  12. リフォーム・リノベーション:企画設計施工や業者マッチングサービス

不動産オーナーにとってどんな変化が期待される?

さまざまな領域で広がる不動産テックですが、実際不動産オーナーにとってはどんな影響があるでしょうか?

■電子契約
これまで契約といえば当然紙に押印という形式が一般的でしたが、近年「電子契約」が徐々に普及し始めています。「電子契約」とは電子化した契約書などをインターネット上で交換し、電子署名を施すことで契約を締結する方法です。通常の賃貸借契約書と重要事項説明書に関しては、電子契約が可能になりましたが、定期借地契約などまだ紙での契約が必須なものもあります。オーナーだけでなく入居者にとっても利便性が高い電子契約は、今後一層進んでいくものと思われます。

■賃料明細やレントロール
管理会社から、月次収支明細などとして郵便で書類が送られてきているオーナーもまだ多いかと思います。これらの情報が、管理会社が導入する各種アプリを通してお手元のスマートフォンで一覧できるようなサービスが次々と出てきています。保有されている不動産のポートフォリオや収支状況を時系列で簡単に把握することができるのが特徴です。

不動産テックサービスに興味があるけれど?

まずは管理会社に相談してみてはいかがでしょうか? 多くの不動産テック関連ツールは、不動産業者向けに提供されており、管理会社が導入していないと利用が難しいケースがあります。また、不動産テックは導入すればあらゆる問題が解決できるという魔法の杖では決してありません。ツールのメリット・デメリットをよく把握し、適切な提案ができるIT人材の確保も不可欠になります。
世代交代が進み、2代目や3代目の若い世代のオーナーを中心に不動産テックツールの導入は今後一層浸透していくことでしょう。オーナーはもちろん入居者にとっても快適な暮らしの実現に向けて、適切に広がることが期待されます。

オーナー自身で手軽に始められる不動産テックは?

できることから少し始めてみたいというオーナーにピッタリなのが、スペースシェアリングです。ご所有の不動産の空きスペースや、駐車場の不稼働期間などを短期で収益化できるのがシェアリングの魅力です。シェアリングを始めてみたい方はぜひ軒先株式会社にご相談ください。

 

 

ABOUT ME
西浦明子
西浦明子
軒先株式会社 代表取締役 スキマハンター。 大学卒業後、ソニー株式会社等での勤務経験を経て、2007年の妊娠・出産を機に起業を決意。2008年4月に日本初のスペースシェアリングサービス「軒先」代表としてサービスを開始、2009年に軒先株式会社を設立。ポップアップ向けスペースシェアの“軒先ビジネス”、駐車場シェアの“軒先パーキング”、飲食店シェアの”軒先シェアレストラン-magari”を運営。2017年総務省ICT地域活性化大賞・奨励賞受賞。現在、全国の遊休スペースの活用提案に奔走中。