対談インタビュー

合同会社で管理する不動産資産を安全に相続する!

不動産活用ネットワークは、不動産オーナー様が直面している課題に対して最短最適な解決策を提供するため、企業の垣根を越えて協力し合うことを目的とした不動産業のプロ集団です。 この『対談』では、毎回テーマを決めて、日々オーナー様から寄せられる「お悩み」や「お困りごと」に対し、【専門家による多角的な視点での解決策】をお伝えしていきます。

不動産管理法人を作るべきか否か?作りならば会社形態はどうすれば良いのか?と悩まれているビルやマンションオーナーは多いのではないでしょうか。今回は、税理士法人で資産税の専門家として多種多様な事案に触れ、解決に導いているあいわ税理士法人の佐々木梨絵と、賃貸不動産オーナー専門の保険のプロとして様々な課題解決を図っている保険ヴィレッジ株式会社の斎藤慎治、そして管理会社の立場で不動産オーナーから不動産の更なる利活用などに関する課題に日々向きあっている株式会社ハウスメイトマネジメントの伊部尚子の3者が対談しました。

前編は、【不動産資産管理を合同会社で行う相続時のリスク!?】をテーマにお届けしました。
まだ、前編をご覧になっていない方は ⇒ コチラ

内 容

▼合同会社をスムーズに相続する方法
 -合同会社の相続は定款が重要
 -税理士にも専門分野、得意不得意がある?

▼相続相談は誰に!?
 -相続に詳しいだけではダメなの?
 -合同会社の定款がなくても遺言書があれば大丈夫?
 -合同会社の定款と取り決めの必要性

合同会社をスムーズに相続する方法

伊部
前編では、資産管理会社の形態が合同会社の場合に発生する相続時の問題点について伺いました。後編は、具体的に「どうすればよいのか?」という対策について掘り下げていきたいと思います。

お話を伺っていて、いっそのこと合同会社は、株式会社に変更してしまったほうがよいのでしょうか?

佐々木
いいえ、定款を見直せればその必要はありません。

伊部
管理会社での経験上、オーナーがご存命でも、会社設立当時の定款が見つからない可能性が大いにあります(笑)

佐々木
合同会社の場合、定款を登記する必要がないので、新たに作成すればよいと思います(笑)

斎藤
この辺りの手続きが簡単なことは、合同会社のメリットといえますよね。

佐々木
はい。

斎藤
あと、結構保険証券はしっかり保管されている方が多いので、定款を作成されたら一緒にしておくとよいと思いますよ(笑)

伊部
一緒に保管してもらいます(笑) 定款を見直したり再度作成したりする場合、どのようなことに気をつければよいでしょうか?

佐々木
基本的には、定款に社員の持分を相続人が承継できる旨を定めておけば、資産を引き継ぐことができます。ただやはり、費用は掛けてでも相続に詳しい専門家に相談することをお勧めします。

斎藤
でも、正直にいうと税理士でも分かっていない方が多いと思いますよ。

佐々木
これは悪口ではないことを前提に聞いて欲しいのですが、特に合同会社という制度が始まる前に税理士になった方などで、ふだん相続などに関わりがないと恐らく、この辺りのことを詳しくはご存じないと思います。税理士の世界も餅は餅屋。ひとくちに税理士といっても、最初に所属した事務所や関わってきた事案によって得意な分野にどうしても偏りがでてきてしまいます。

伊部
確かに、不動産業界でも私の関わっている管理業務と仲介や売買とでは全く別世界です(笑)

伊部
確かに、不動産業界でも私の関わっている管理業務と仲介や売買とでは全く別世界です(笑)

佐々木
どの業界も同じですね(笑)
もし、毎年の決算や所得税計算を依頼している税理士が相続関係にも詳しければ、そのまま相談すればよいと思います。そうではない場合は紹介を受けるか別に探す必要がありますね。

伊部
税理士を変える必要まではないですか?

佐々木
これまでの業務を新たな税理士に引き継ぐのも手間ですから、そのまま継続しておいて別に相続に関して相談する方を探すのがよいと思います。

斎藤
ちなみに、合同会社の定款の雛形で最近作成されたものには、相続に関する文言が盛り込まれるようになっていますか?

佐々木
普段、事業承継や相続に関わっている士業の方ならば、その辺りのことを考慮した定款を作成されると思いますが、一般的な雛形には、今でも相続に関する事項は盛り込まれていないと思います。

伊部
ならば、合同会社がスタートした当時の雛形には、ほぼ相続に関する一文は入っていないということですね!?

佐々木
残念ながら、そうなります。なので、制度開始から17年という月日が経ち、相続が始まってくるタイミングで遺族の方がお困りになることが多くなってきています。是非、一度、ご確認いただきたいと思います。

斎藤
実は、投資物件を購入するたびに合同会社を立ち上げている例も数多くあります。なかには、おひとりで10社以上という方もいらっしゃるので、見直すとなると結構大変そうですね。

佐々木
税理士や司法書士、行政書士などの費用が掛かりますが、大切な資産の価値を損なうことなく継承させていくためには必要なことですから、見直しは必ずしていただきたいと思います

相続相談は誰に!? ~専門家への相談で注意するべきポイント

伊部
まず、定款を探してから相続に詳しい専門家に相談するということは理解しましたが、その際の注意点はありますか?

佐々木
相続でも特に事業継承などにも関わってきた税理士などに相談したほうがよいと思います。

斎藤
賃貸物件の相続を取り扱っていても、確かに数としては個人オーナーのほうが圧倒的に多い。普段から法人の相続にも慣れている方にお願いしたほうがよいということですね

佐々木
はい。
特に合同会社はまだまだ数が少ないので、普段から承継を含む法人税務に関わっている方にお願いするほうが効率的で確実だと思います。

斎藤
遺言書に明記するという方法は如何でしょうか?

佐々木
遺言があれば原則としてその内容に従って指定された相続人が持分を承継。合同会社の社員になることも可能です。ただ、注意しなくてはいけないのは、遺言書に漏れがあったり、遺言を作成した後で、新たな物件を購入してさらに合同会社を立ち上げたりする可能性もあります。

伊部
確かにそうですね。遺言書に記入漏れがあって、定款に相続に関する規定がないと、前編でお聞きしたように物件を売却して、払戻請求権として受け取るということになってしまう。

佐々木
はい。合同会社の社員が亡くなった方おひとりでしたら会社は解散となってしまいます。不動産価格が下落したタイミングで、優良な収益物件を手放さなければいけないという危険性さえあります。ですので、定款の相続に関する項目の確認をするとともに遺言書との整合性を図っていくことが必須ということになりますね。

斎藤
社員がふたりいれば解散はしなくてよい。

佐々木
亡くなった方が代表社員だった場合は、新たな代表社員を選出して登記する必要がありますが、会社を存続することは可能です。万が一を考えて、あらかじめご家族を合同会社の社員にしておくという方法をとることもあります。

伊部
相続させたいご家族を全員社員にしてしまえばよいのですね。

佐々木
そうです。ですが、注意しなくてはいけない点もあります。合同会社の社員にするということは、たとえ出資金が1円でも議決権を1票もつことになります。また、配当割合にも絡んできます。、その辺りを含めて取り決めをしておく必要があります。

斎藤
これは合同会社に限らずですが、物件を残したい相続人と現金で欲しい方とで意見が割れることはよくあります。

伊部
先々のことまで考えて取り決めをしておかなければいけないということですね。

佐々木
そうです。不動産オーナーの方が、「どのように資産を引き継がせたいのか?」ということ。そして、現実的に引く継ぐ側の方が「それが出来るのか?」「希望しているのか?」なども考慮する必要があります。

斎藤
しかも、景気によっては不動産市況も変化しますし、ご家族の状況も変わる可能性がある。

佐々木
もちろん、完璧に備えることは不可能です。ただ、そのために私たちのような専門家がいるわけですから、ご遠慮なく相談いただきたいと思います。

伊部
確かにそうですね。

佐々木
相続発生後に関係者の調整を図りつつベストな提案をすることも専門家の大切な仕事でありますが、要らぬ軋轢を未然に防ぐのも大事な業務だと思っています。

伊部
早速、合同会社で運用されているオーナーにご連絡していきたいと思います。本日はありがとうございました。

斎藤
私もクライアントに、合同会社における相続の危険性について伝えていきます。くわえて、日本全国で大家さんに向けたセミナーなどで講師として話をする機会も多いので、啓蒙を図っていければとも思います。

佐々木
是非、よろしくお願いいたします。何かご質問があればおっしゃってください。

《終了》

あいわ税理士法人 佐々木梨絵
保険ヴィレッジ 斎藤慎治
株式会社ハウスメイトマネジメント 伊部尚子

前編では、【不動産資産管理を合同会社で行う相続時のリスク!?】をテーマに対談していいます。