対談インタビュー

株式投資の長所を活かした相続テクとすべきこと

不動産活用ネットワークは、不動産オーナー様が直面している課題に対して最短最適な解決策を提供するため、企業の垣根を越えて協力し合うことを目的とした不動産業のプロ集団です。 この『対談』では、毎回テーマを決めて、日々オーナー様から寄せられる「お悩み」や「お困りごと」に対し、【専門家による多角的な視点での解決策】をお伝えしていきます。

株価下落というチャンス(?)とNISAや家族信託について

インターネット、さらにスマートフォンの登場で大きく変化してきた世の中の流れは、不動産業界、そして証券業界にも押し寄せてきています。今回は、証券会社でありながら社会貢献を視野に金融サービスにとどまらない幅広い活動をするアイザワ証券株式会社の金丸和樹と、日々、管理会社の立場で不動産オーナーの課題に向きあっている株式会社ハウスメイトマネジメントの伊部尚子が、相続にまつわる課題やその具体的活用方法などについて対談しました。

前編は、【相続に絡む不動産と株式投資の問題点をプロが解決】をテーマに、相続にまつわる課題やその具体的活用方法などについての対談をお届けしました。
まだ、前編をご覧になっていない方は ⇒ コチラ

金丸
価格が変動するから平等に分けるには面倒な株式ですが、逆にメリットもあります。
それは、株価が下がったときがチャンスです。

伊部
株価が下がるのは、嬉しくないと思いますが……。

金丸
確かに、資産が減ることにはなりますが、贈与という視点からみると下がることがメリットになります。

伊部
贈与税の基礎控除の110万円を使い、贈与税がかからなくする!?

金丸
その通りです。
110万円超でも、株価が下がって評価額が下がれば贈与税も圧縮される場合もあります。

伊部
損をしている大家さんを励ますことがきるかも(笑)

金丸
(笑)
また、株式は現金と違って、4つの価格評価方法があります。
一番わかりやすいのは「贈与する日の終値」ですが、贈与月やその前月、前々月の終値の平均で一番安い価格を選ぶことができます。これは相続時も同じです。

伊部
株価が下がったタイミングで次世代に贈与すると良いのですね。確かに現金にはないメリットですね。

金丸
生前贈与することによって、次の世代に株式投資をレクチャーするチャンスも生まれます。贈与をキッカケにNISAなどで、お得に積み立て投資を始めることもできる。

伊部
NISAは、非課税で運用できるというような感覚はありますが、よくわかっていません!

金丸
これから、非課税枠がさらに広がる新NISAという制度もはじまります。

伊部
まずは、食わず嫌いをせず、少しずつ始めておくことが大切なんですね。
話は少し変わりますが、認知症対策については、どう考えられていますか?
不動産管理業界では大問題になっていまして。

金丸
不動産で売却や建て替えができなくなるのと同様、認知症と診断されたら一切の取引が出来なくなります。

伊部
家族信託制度は?

金丸
家族信託が契約のなかに入っていれば取引は可能です。ただ、家族信託を進めるにはコストが掛かります。これが、ある程度の規模の収益物件でもあればいいんですが、コスト割れしてしまう懸念もでてきます。

株式投資をする不動産オーナー/大家さんがしておくべきこと

伊部
投資効率を落とさず手間も最小限に抑えるために、保有株式をわける際に現預金での調整も検討する。投資信託にして分けやすくする。生前贈与で次世代に引き継ぐ。一定規模の資産があれば、コストを掛けても家族信託などを考えるということを伺ってきました。

でも、大家さんがまだまだお元気な場合、その前にできることがあるような気がします。

金丸
資産全体をふまえた相続の基礎「分割」「納税」「節税」を考えることだと思います。
それとお持ちになっている証券口座を相続人がわかるようにすることですね。

銀行の場合は、ほぼ通帳がありますし、駅前の○○銀行や△△信用金庫など見当がつきやすい。保険の場合も豪華なフォルダーに入った保険証券という紙がある。

伊部
もう、紙の株券はない?

金丸
お持ちの方はいらっしゃるかもしれませんが、紙の株券は無効です。電子データ管理になっています。

伊部
となると、証券会社の担当者が家に来るようなことがないと、家族ですらどこに口座があるかわからないのですね。

金丸
特にネット証券で、取引明細や年次報告などがメールに届くようになっていると郵便物が届かないので、相続が発生した際に相続人がどこに口座があるかわからない場合があります。もちろん、株式を保有している会社から決算報告の案内や優待券が届くので、どこかのタイミングで株主であることはわかります。

伊部
「ほふり(証券保管振替機構)」に連絡して、証券会社を確認する?

金丸
もちろん、そうすればわかります。 それを防ぐために口座がある金融機関の一覧を「エンディングノート」に書いておくことをお勧めしています。エンディングノートが、金融機関での相続手続きの手がかりになるわけです。

伊部
どこに口座があるかがわかれば、少しは相続手続きが楽になるのですね。

金丸
はい。
ただ、相続人と被相続人の関係がわかるように戸籍謄本をとる必要があります。本籍地が遠隔だと郵便局で小為替を買って、返送用の封筒を入れて送るというような、ネット世代には考えられない超アナログな手間もかかります。

伊部
自分でやると大変、プロに頼むこともできるけど、費用がかかる。

金丸
ですから、終活を進める際は、口座の数を減らされたほうがいいですね。1億円分の資産が入っている口座も10万円の口座も手間は同じですから、引き継がれる人数に合わせて口座数も少なくして、数を揃えていくのがよいと思います。

伊部
普段アレコレと悩んでいたことが解消されました。
お陰様で、不動産オーナーに対して株式についてご案内する選択肢が増えました。
今後もあれこれと相談させていただくと思います。

金丸
もちろんです。
皆さん条件や思いがご家族により違いますから、100件の相続があれば100件の課題があります。収益物件をお持ちの方も多いですから、証券の相談以外でもご相談させてください。

伊部
本日は、ありがとうございました。

金丸
こちらこそ、ありがとうございました。

《終了》

アイザワ証券株式会社 金丸和樹
株式会社ハウスメイトマネジメント 伊部尚子

前編では、【相続に絡む不動産と株式投資の問題点をプロが解決】をテーマに対談しています。