不動産活用ネットワークは、不動産オーナーのお困りごとに対して最短最適な解決策を提供するために、企業の垣根を越えて協力し合うことを目的とした不動産業のプロ集団です 。 Q&Aコーナーではオーナー様からのお悩みと専門家による解決方法をご説明いたします。
今回のご相談
実は、アパートとマンションの違いについては建築基準法や宅地建物取引業法でも規定がなく、明確な決まりが存在しないのが現状です。
しかし、賃貸住宅の入居者募集の情報には、「アパート」「マンション」という表記がしてありますので、お部屋探しのお客様からも「何が違うんですか?」とよく聞かれます。
私たち不動産会社がどうやってアパートとマンションを決めているか、詳しくご説明しましょう。
定義は不動産会社ごとに違う
私たち不動産会社は、各社で「何がアパートで何がマンションか」の定義を独自に決めています。
たとえば私たちハウスメイトグループでは、建物の階数に関わらず、木造や軽量鉄骨等の準耐火構造の共同住宅はアパート、鉄筋コンクリート造や鉄骨造等の堅固な共同住宅をマンションと表記しています。
同じ賃貸物件を同時に複数の不動産会社が募集している場合に、片方がアパートとして募集しているのに、もう片方がマンションとして募集していることもあり得るということになります。
不動産情報サイトで募集するにはサイトの定義に合わせる必要あり
しかし、いくら不動産会社が自社でルールを決めても、賃貸物件の募集をするときには不動産情報サイトを利用するため、それぞれのサイトの定義に合わせて情報を登録しなければなりません。
不動産情報サイトの業界では、自主的なルールを設けています。大手不動産情報サイトの会社の集まりである、不動産情報サイト事業者連絡協議会では、「アパート」と「マンション」を、構造で分けて定義しています。
◆アパート: 軽量鉄骨造り・木造等の建物
◆マンション: 鉄筋コンクリート造り・その他堅固な造りの建物
このルールに従うと、鉄筋コンクリートの2階建ての共同住宅があった場合、見た目は低層でも「マンション」と表記され、木造で3階建ての共同住宅は「アパート」と表記されることになります。
鉄骨造の物件は、鉄骨鋼材の厚みで異なる
鉄筋コンクリート造はマンション表記、木造はアパート表記となるのはわかりやすいのですが、ここで迷いが生じるのが鉄骨造です。
鉄骨の厚みはさまざまだからです。
一般的に、鉄骨鋼材の厚みが6mm未満のものは軽量鉄骨となり、不動産情報サイト事業者連絡協議会のルールに従うと「アパート」と表記することになります。
しかし、ご質問にあったように、「アパートよりマンションの方がグレードが高い感じがするので、マンション表記にしたい」と考えるオーナーも多いと思います。
また、ハウスメーカーの鉄骨系のプレハブ住宅では軽量鉄骨が多く採用されていますが、〇〇シリーズなどの特定の種類の建物で、「マンション」として販売されているものもあるので、オーナーとしては「マンションだと思っているのに、なぜ募集はアパートになっているのか」と考えるのも無理はありません。
不動産業者が迷うのは、軽量鉄骨3階建て
実際は、不動産情報サイト事業者連絡協議会でのマンションの定義にある「その他堅固な造りの建物」というのが実際にどんなものなのかがはっきりしていないこともあり、軽量鉄骨のプレハブ住宅をマンションと登録してもエラーにならず、そのまま掲載される不動産情報サイトもあります。
最終的にマンションとして掲載するかしないかは、不動産会社ごとの判断に委ねられます。
軽量鉄骨の3階建てのアパートで、見た目はマンションでもルール上はアパート、という物件の時に悩むことが多いです。
「アパート」「マンション」だけで検索されるわけではない
アパート表記になった場合に入居者募集上不利になるのではというお悩みに関してですが、一般的な不動産情報サイトは、【アパート・マンション・一戸建て】という物件種別の他に、【鉄筋系・鉄骨系・木造・その他】などという建物構造も検索項目となっています。
鉄骨系にチェックを入れると「軽量鉄骨」「鉄骨造」「重量鉄骨造」等の建物がまとめて検索されるようになっており、鉄骨の賃貸住宅に住みたい人はここにチェックを入れる方が多いと思われます。
また、外観写真を見れば立派な建物であることがわかりますので、そこまで心配されなくても大丈夫だと思います。