加盟社リレー寄稿Q&A

コロナで苦境に立たされるテナント、退去問題にどう対応するか?

不動産活用ネットワークは、不動産オーナーのお困りごとに対して最短最適な解決策を提供するために、企業の垣根を越えて協力し合うことを目的とした不動産業のプロ集団です 。 Q&Aコーナーではオーナー様からのお悩みと専門家による解決方法をご説明いたします。

今回のご相談

不動産オーナー
不動産オーナー
新型コロナウイルス感染が収束の兆しを見せない中、テナント等においては売上の確保はもちろん、人件費や家賃といった大きな固定費の支払いが困難となるなどの苦境に立たされています。何とか、既存テナントに継続してもらいたいと思っていますが、家主としてどういった対応ができるでしょうか?
西浦明子
西浦明子
このコロナ禍で、すべてのテナントにとって人件費と家賃は一番の負担になっていることは間違いありません。銀座のような一等地ですら、路面店舗に空きが出始めています。一時的に家賃の減額や、助成金などの活用でしのぐことはできても、先が見えない中テナントの不安はなかなか解消されません。シェアリングの仕組みを使って、空き店舗や空きスペースを短期運用することで、新規出店者獲得の足掛かりになったり、既存テナントの経営の安定化につなげることも可能です。今回はその事例をいくつかご紹介いたします。

コロナ禍で急増した業態がある?

緊急事態宣言が出された2020年4月から5月にかけて、多くの商業施設が閉館となり屋内での催事活動が実質的にできない状態となりました。同時に、国内ではマスクや消毒液といったコロナ対策商品の品不足が深刻な問題となりました。その際に、にわかに急増したのが屋外のスキマスペースを使った臨時催事業者でした。こうした屋外のスキマスペースは、密にならずに販売活動ができるだけでなく、事前の大掛かりな準備やまとまった資金なしに、必要な時だけ出店したい場所で営業いただくことができます。通常の賃貸契約と異なり、シェアリングでのレンタル形式であれば、タイムリーかつ機動的にさまざまな営業活動を行えるというメリットがあります。スペースのオーナー様がスキマスペースを開放いただくことで、経済活動の支援につながっていくのです。

住宅街にもキッチンカーが来る!

キッチンカーといえば、都心のオフィス街の大型ビルのふもとにランチタイムになると出店する風景はすっかり見慣れたものになりました。このコロナ禍において、リモートワークが進んだ都心部では、一時期出社するオフィスワーカーが減りランチニーズも激減しました。一方で、在宅勤務される方や積極的に外に買物や外食に出かけるのを控えたい方向けに、住宅エリアでのキッチンカーの出店ニーズが増えてきています。大型マンションや団地の一角で、蜜を避けて温かいお弁当やお惣菜が帰るのは密かな人気になっています。また、自粛が続く中、新規出店を控えている飲食店が新たな販売チャネルとしてキッチンカーをはじめるケースもここにきて増えてきています。車1台分おけるようなスペースがあれば、キッチンカーの出店場所として十分成立します。

飲食店の退店リスクを防ぐには?

飲食テナントをお持ちのオーナー様にとっては、いかに既存テナントに継続してもらうかは非常に気になるところではないでしょうか。この時期、ひとたびテナントに退去されてしまうと、新たなテナントを見つけるのは至難の業です。退去されてしまう前に打てる手はないでしょうか。1つの解決策になるのが、飲食店舗の間貸しです。空き時間帯を他の方に短期で貸出しいただき、既存テナントの新たな収益としていただくことが可能です。
今、間借り形態でランチ営業を始めたい方や、UberEATSなどのデリバリーでの販売に特化した「ゴーストレストラン」と言われる業態で飲食店をスタートされる方が増えており、間借り飲食店のニーズは広がりを見せています。なお、開始にあたっては、テナントとの賃貸契約内容に基づき、間借りでの利用を許可する内容の覚書などを交わしていただく等の準備は必要です。また、弊社で提供している「magari」のような専用プラットフォームを使うことで、万が一の際のトラブル時に補償される保険が適用されるので安心です。

「テナントが決まらない…」というオーナー様

都心の一等地でも空中階・路面を問わず空き店舗が急増しています。コロナ禍において、積極的に親店舗をオープンさせるテナントは、なかなか見つけるのが難しい状況です。とはいえ、次のテナントが見つかるまでそのまま空けておくのは「もったいない!」。こんな時こそ、空き店舗をシェアリングで短期貸しして、細かく収益化することにチャレンジしてみてはいかがでしょうか?短期で使った方がそのまま長期契約につながることもあります。テナントにとっては商圏調査にもなるので、退去リスクも軽減できるでしょう。短期で利用させることで発生するリスクは、弊社「軒先ビジネス」のような短期貸し専用プラットフォームを使っていただければ、運用面の効率化も含めてヘッジすることが可能です。

ピンチこそチャンス!

テナント物件をお持ちのオーナー様は、非常に難しい局面にいらっしゃることと思います。既存テナントとの良好な関係を維持しつつ、物件の収益性を保つには家賃の減額や猶予などの直接的なアプローチだけではなく、今までにない活用方法やこれまで運用の対象外と思っていたようなスペースに目を向けていただくことで意外な解決策につながる可能性があります。悲観的になる前に、打てる手を一緒に考えてみませんか?

 

 

ABOUT ME
西浦明子
西浦明子
軒先株式会社 代表取締役 スキマハンター。 大学卒業後、ソニー株式会社等での勤務経験を経て、2007年の妊娠・出産を機に起業を決意。2008年4月に日本初のスペースシェアリングサービス「軒先」代表としてサービスを開始、2009年に軒先株式会社を設立。ポップアップ向けスペースシェアの“軒先ビジネス”、駐車場シェアの“軒先パーキング”、飲食店シェアの”軒先シェアレストラン-magari”を運営。2017年総務省ICT地域活性化大賞・奨励賞受賞。現在、全国の遊休スペースの活用提案に奔走中。