不動産活用ネットワークは、不動産オーナーのお困りごとに対して最短最適な解決策を提供するために、企業の垣根を越えて協力し合うことを目的とした不動産業のプロ集団です 。 Q&Aコーナーではオーナー様からのお悩みと専門家による解決方法をご説明いたします。
今回のご相談
家賃債務保証契約の料金は誰が支払う?どんな審査が行われる?
家賃債務保証料は、基本は賃借人負担です。家賃債務保証会社ごとに複数のプランがあり、契約時のみ支払うものや、契約時と更新時に支払うもの、家賃の数パーセントを毎月支払うものなどさまざまです。
審査方法も単一ではないため、同じ賃借人でもある家賃債務保証会社では審査が落ちたのに、別の会社では審査が通ったというようなことが起こります。信販会社系の家賃債務保証会社は過去のクレジットカードの延滞などの履歴で判断します。一般社団法人全国賃貸保証協会(LICC)という業界団体に加盟している家賃債務保証会社は、この団体で共有されているデータベースを元に審査しています。そのどちらにも属していない独立系の家賃債務保証会社は、独自の審査方法があります。
審査が落ちてしまったときには理由が知りたくなりますが、オーナー様や管理会社だけでなく本人にも開示されないルールになっています。
保証されるのは何のお金?どのくらいまで保証される?
保証の範囲や保証される金額は会社ごとに違いますが、基本となるのは家賃、共益費や管理費、駐車場代などです。その他、更新料や、滞納がかさんで明け渡しとなった際の訴訟費用、退去後の原状回復費用、残置物撤去費用、鍵交換費用などが出る会社もあります。保証の項目に入っていても、支払いに上限額が設定されている場合もありますので、注意が必要です。
既存の物件を購入していたり、自主管理で複数の不動産業者に客付けを依頼している場合には、1棟の物件でも複数の種類の家賃債務保証会社を利用している場合があります。同じ会社の商品でもプランが異なれば、保証の範囲や保証料、滞納発生時の流れなどが違うことがあります。契約の内容の把握をしておくことをお勧めします。
収納代行と代位弁済の違いとは?
家賃債務保証の仕組みは、大きく分けると、収納代行型と代位弁済型があります。
収納代行型は、その名の通り「家賃の収納(集金)を代わりに行う」仕組みのことです。入居者と家賃債務保証会社で家賃のやりとりが完結します。もし滞納が発生したとしても、家賃債務保証会社から期日通りに家賃が支払われます。入居者が家賃を振り込むのは保証会社の口座なので、万一滞納が発生したら家賃債務保証会社にはすぐにわかり、オーナー様や管理会社が滞納を知る前に、督促が開始されることになります。
代位弁済型は、入居者が家賃を振り込むのは管理会社、自主管理の場合はオーナー様の口座です。滞納が発生しても保証会社にはわかりませんから、口座を管理している側がきちんと家賃入金の有無を確認し、万一滞納があったら保証会社に報告し、滞納家賃分を代わりに払ってもらえるように請求しなければなりません。
請求はいつまでもできるものではなく、期限が設定されていますので、自主管理の場合は期限を把握して、滞納が発生したらすぐに保証会社に報告と請求をする必要があります。
まずは契約の内容を知ることから始めましょう!
家賃債務保証契約は賃借人がお金を負担することから、無関心なオーナー様も多いのが実情です。しかし、家賃債務保証会社と契約しているから全てが安心とは限りません。契約の内容や必要な手続きを把握し、万一の時に正しく請求して初めて契約の意味があります。まずは、家賃債務保証会社は、管理や仲介を任せている会社ごとに利用している保証会社が違いますので、不動産会社に依頼して家賃債務保証会社のパンフレットや契約書を取り寄せるとよいでしょう。
現在家賃債務保証会社を規制する法律はなく、監督省庁もありませんが、2017年に国土交通省が賃債務保証業者の登録制度を創設し、情報を公開していますので、どんな会社なのかを判断する目安にできると思います。