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不動産オーナーを対象とした「新型コロナウイルスの税制上の支援策」はありますか?

不動産活用ネットワークは、不動産オーナーのお困りごとに対して最短最適な解決策を提供するために、企業の垣根を越えて協力し合うことを目的とした不動産業のプロ集団です 。 Q&Aコーナーではオーナー様からのお悩みと専門家による解決方法をご説明いたします。

今回のご相談

不動産オーナー
不動産オーナー
新型コロナウイルスの影響によりテナントの会社の売上が減少し、賃料の減免を行いました。不動産オーナーの税制上の支援策について教えてください。
後藤類
後藤類
主に下記の支援策があります。

  • 固定資産税・都市計画税の減免
  • 税(国税、地方税、消費税等)、
    社会保険料の納税猶予
  • 減免したテナントの賃料の損金算入
  • その他(持続化給付金の創設、
    返済猶予等に係る支援策等)

以下で詳しく見ていきたいと思います。

固定資産税・都市計画税課税明細書画像

固定資産税・都市計画税の減免について

新型コロナウイルス感染症の影響により事業等に係る収入に相当の減少があった場合、中小事業者等が所有し、事業の用に供する家屋(建物)及び償却資産(設備等)の令和3年(2021年)度の固定資産税及び都市計画税が、2021年1月末までに申請することにより、事業に係る収入の減少幅に応じ、ゼロ又は1/2となります。(※)

(※) 2020年2~10月の任意の連続する3ヶ月の事業に係る収入が前年同期比30%以上50%未満減少した場合は1/2に軽減、50%以上減少した場合はゼロ(全額免除)となります。

 

 

不動産オーナーにとって固定資産税の負担は大きいため、要件に該当する場合は是非申請をして頂きたい制度です。

また、この場合、不動産オーナーがテナント等の賃料支払いを減免した場合や、書面等により一定期間、賃料支払いを猶予した場合も収入の減少として扱われます。
なお、テナント等の賃料支払いを猶予したことによる収入減少をもって本措置の適用を受けようとする場合、3ヶ月分以上の賃料を、それぞれの賃料の支払期限から3ヶ月以上猶予していることが必要となります。

 

 

決算書・納税のイメージ画像

税金、社会保険料の納税猶予について

新型コロナウイルス感染症により国税・地方税・社会保険料を一時に納付することが困難な場合は、個人・法人の別、規模を問わず、申請により、原則として1年間、納税が猶予されます(延滞税も軽減)。

なお、2020年2月1日から2021年1月31日までに納期限が到来する税(法人税、消費税、固定資産税など基本的に全ての税が対象)については、新型コロナウイルスの影響により2020年2月以降の任意の期間(1か月以上)において、事業等に係る収入が前年同期に比べて概ね 20%以上減少(以下、売上減少要件)している場合かつ、一時に納付することが困難と認められるときは、無担保・延滞税(延滞金)なく、1年間納付を猶予することができます。

※ 不動産所有者等がテナント等の賃料を減免した場合や、税・社会保険料の納付期限において賃料支払いを猶予した場合も収入の減少として扱われます。

なお、納税猶予の適用を受ける場合は、納期限(申告納付期限が延⻑された場合は延⻑後の期限)までに申請が必要であり、申請にあたっては申請書のほか、収⼊や現預⾦の状況が分かる資料の提出が必要です。

減免したテナントの賃料の損金算入について

法人・個人が行った賃料の減額が、次の条件を満たすような場合等には、その減額した分については、寄附金に該当せず、税務上の損金として計上することが可能であることが明確化されました。

①取引先等において、新型コロナウイルス感染症に関連して収入が減少し、事業継続が困難となったこと、又は困難となるおそれが明らかであること

②実施する賃料の減額が、取引先等の復旧支援(営業継続や雇用確保など)を目的としたものであり、そのことが書面などにより確認できること

③賃料の減額が、取引先等において被害が生じた後、相当の期間(通常の営業活動を再開するための復旧過程にある期間をいいます。)内に行われたものであること

なお、本取扱いを受ける場合、新型コロナウイルス感染症の影響により取引先に対して賃料を減免したことを証する書面の確認を税務署より求められる場合がありますので、書面等を作成の上、保存しておく必要があります。

その他(持続化給付金の創設、返済猶予等に係る支援策)

その他の支援策としては主に下記が御座います。

①持続化給付金
前年同月比で売上が50%以上下落するなどの要件を満たした事業者に最大200万円(法人)又は100万円(個人事業主)が支給されます。申請期限は2021年1月15日(金)までです。

②資金繰り支援
金融庁より金融機関に対し、賃貸事業者を含む事業者や個人の有するローンについて、返済猶予等の条件変更等に迅速かつ柔軟に対応するよう要請がなされております。

③セーフティネット保証制度の対象
信用保証協会における保証のうち、経営の安定に支障が生じている中小企業者を対象とした資金繰り支援制度である「セーフティネット保証制度」において、直近の売上高が前年同月比5%以上減少等した場合に、一般枠とは別枠で借入債務の 80%を保証する「セーフティネット保証5号」の対象業種に、「貸事務所業」等が追加されました。詳しくは、取引金融機関又は最寄りの信用保証協会にご相談ください。

④各自治体による支援
自治体によっては独自に給付金の支給などを行っています。
詳しくは各自治体のホームページ等をご確認ください。

賃貸住宅イメージ写真

様々な支援策を是非ご活用ください。

上記でご紹介したように不動産オーナーの方に対する支援策はいくつもありますので、活用できるものはできる限り活用頂き、コロナ禍を乗り切って頂ければと思います。

特に固定資産税・都市計画税の減免については影響が大きいかと思いますので、要件に該当する場合は、2021年1月31日までの申請手続きを忘れないようにご留意ください。

 

 

ABOUT ME
後藤類
後藤類
あいわ税理士法人 税理士 広く社会の役に立つ仕事をしたいという思いから税理士を志す。 大学卒業後、一般企業(営業職)勤務を経て2016年9月あいわ税理士法人入社。 国内の上場企業、ベンチャー企業、オーナー企業に対する税務コンサルティングに従事。