不動産のオーナーにとって、建物設備についての悩みは尽きません。1966年設立のTMES株式会社は、「予防保全」を核とした“設備総合管理サービス“を通じ、建物設備の安定稼働を提供しています。
同社の不動産ソリューション課長の芥生 祐士さんに同社の取り組みについて語っていただきました。
不動産オーナー様の真のパートナーを目指して
御社の事業内容を教えてください
当社は、空調設備のリーディングカンパニーである高砂熱学工業のグループ会社です。2021年に創立55周年を迎えました。1966年に建物の設備管理業を事業目的として設立しました。現在は「高度な設備管理」を事業の柱として、ファシリティマネジメントをはじめ、建物の設備診断や電気・空調・給排水・衛生設備等の管理、省エネ工事など設備に関わる様々なサービスを展開しています。
なお、「TMES」の社名は上記の「Technology」「Maintenance」「Engineering」「Solution」の頭文字です。
建物設備に関する幅広いサービスを扱っているのですね。
そうですね。お客様の幅広いニーズにお応えするため、メンテナンス事業、エンジニアリング事業、ソリューション事業の3つの事業サービスがあります。この3つの事業で、大型~中小型オフィスビル・工場・病院など多岐に渡りお客様の建物施設の安定稼働のお手伝いをしています。
それぞれのサービスについて教えていただけますか?
はい、メンテナンス事業は、みなさんイメージし易いかと思いますが、保守点検や法定点検などを通して、各種設備を正常に安定稼働させ、快適な環境や遵法性を維持するために適正なメンテナンスを行います。
次に、エンジニアリング事業です。これは、技術的な側面が強いのですが、設備診断から工事の設計・施工管理、修繕や更新工事などを行う事業です。
最後に、ソリューション事業です。お客様が事業活動に使用する施設の現状を分析し、エネルギーマネジメントやライフサイクルマネジメントなどの手法を駆使して、省エネルギー化や計画的な更新工事を行うことでお客様に最適な環境を提供していく事業です。
不動産部門を立ち上げた経緯を教えていただけますか?
不動産部門を立ち上げてから、かれこれ10年くらいになります。設備メンテナンスでお手伝いをしているオーナー様からの賃貸運営管理に関するお悩み相談が予想以上に多く、そのお悩みを当社で解決しようと考え、プロパティマネジメント(以下、PM)業務を始めました。PM業務を始めたことで、オーナー様により深い提案ができるようになり、関係も強固になってきました。30年以上お付き合いを頂いているオーナー様もいらっしゃいます。
その後、オーナー様の様々なニーズに応える形で、賃貸仲介・売買仲介・不動産有効活用相談などの現在の業務内容になりました。最近では、今までご自身で賃貸運営をされてきたオーナー様からのご相談が増えています。ご自身が高齢になり、自己流の賃貸運営でよいのだろうか、相続するご子息などのことを考えると専門業者に任せた方がよいのではないか、そういえば、TMESが不動産ソリューションというのをやっていたな、ちょっと話を聞いてみようかという流れが意外と多いです。(笑)これは、設備メンテナンスでのお付き合いでTMESという会社を信頼して頂いていることの証と感じており、大変うれしく思っています。
設備面の強みを活かして解決策を提案
御社の不動産部門の強みを教えていただけますか?
設備メンテナンスで培ってきた大小様々な経験が強みになると思っています。以前、私どものお客様に、不動産に関する現在のお悩み・不安についてのヒアリング調査を実施いたしました。じつに8割以上のお客様が、「設備が故障したらどうしようか、設備の入れ替えにいくらくらい掛かるのか」など建物設備に関するお悩み・不安をお感じでした。お取引させて頂いているお客様の建物は築年数が30年以上経っているものも多く、このような傾向が出たものと思います。
その不安解消のため、私どもでは、中長期修繕計画の策定を通して、建物設備の修繕に関する見える化を行っています。
中長期修繕計画の策定については、当社の不動産事業にこれまで培ってきた設備メンテナンスの知見を取り入れることで、他社との差別化に繋げています。
そんなにたくさんのオーナー様が建物設備に不安を感じているのですか?
先ほどもお話しした通り、ヒアリング調査は当社のお客様に限定されていますので、築年数の相当数経っている建物が多いという前提になっておりますが、私の肌感覚から言いますと、築年数に関係なく多くのオーナー様が同じように不安を感じているのではないでしょうか。建物設備はいったん不具合が発生しますと、修繕や交換に多額の費用が掛かってしまうことが原因と思います。
まずは、建物設備の修繕に関する現状の見える化を行い、将来発生する費用を把握することが第一歩だと思います。
また、収益不動産の場合、建物設備のトラブルはテナントクレームの原因になりますし、状況によっては賃料減額などの話しが出てしまう可能性もありますので特に注意が必要です。
仕事に取り組むうえでのモットーを教えてください。
オーナー様のためになるかということを第一に考えていますね。我々は不動産オーナー様あっての事業ですから、オーナー様ファーストの視点で仕事に取り組むようにしています。ほかのビルに行った際も、エントランスをリニューアルしたら、もっと賃料がアップできるのではないかなどついつい考えてしまいます。(笑)