不動産活用ネットワークは、不動産オーナーのお困りごとに対して最短最適な解決策を提供するために、企業の垣根を越えて協力し合うことを目的とした不動産業のプロ集団です 。 Q&Aコーナーではオーナー様からのお悩みと専門家による解決方法をご説明いたします。
今回のご相談
世界一のEV先進国ノルウェー
EV普及に関する情報を整理してお伝えします。背景としては、2015年の「パリ協定」が採択されて以降、世界的に脱炭素社会の実現に向けて動き出しました。2020年には、当時の菅首相が「2050年のカーボンニュートラル実現」を宣言したことも記憶に新しいこと。その実現に向けて、様々な施策がされるなかの一つとして、EV普及率向上が注目を集めています。「グリーン成長戦略」には「2035年までに新車販売で電動車100%を実現する」と明記されました。日本のメーカーもこぞってEV開発に力を注いでいます。
しかし、2021年の日本の新車販売台数における、EVの割合は「約0.9%」です。ちなみに、ノルウェーは世界一の「EV先進国」であり、2020年には同比率が50%を超えたそうです。同国政府は25年に新車販売をすべてEVまたは燃料電池車にする目標を掲げていますので、日本よりもずっと早いことになります。
もちろん、日本とノルウェーではバックグラウンドがあまりにも違うことは言うまでもありません。しかし、日本が参考にできることが確かにあります。
最初から駐車場に電源コンセントがあった
ノルウェーが爆発的にEV販売台数を伸ばした要因はいくつかありますが、そのなかでも着目したいのは、「寒冷地がゆえにエンジンオイルが固まらないよう、エンジン車にヒーターがついており、その電源コンセントがもともと車庫についていた」ということです。各家庭の駐車場や公共駐車場にもともと電源があったわけです。
それによって「基礎充電」の問題がクリアでき、あとは政府が旗振り役となって急速充電器の設置や事業用車両のEV化を進めていったことで、大幅な推進がなされたと見ています。
日本では、最近の住宅ならば車庫に電源コンセントがついていたり、マンションの駐車場に充電設備がありますが、月極駐車場にはありません。あくまで概算ですが、日本における持ち家と賃貸の比率が6:4だとすれば、国内で登録されている自動車約7,653万台のうち、4割が賃貸として、約3,000万台が普段の「基礎充電」ができないのです。
かなり大雑把な計算ではありますが、このように捉えると月極駐車場と「基礎充電」の関係が見えてきます。
さらなる補助金の拡充に期待
かといって、月極駐車場に充電設備を設置するのは誰かと言えば、オーナー様です。そして、その費用負担を考えれば、オーナー様が設置に前向きになれないことは明白。政府にはさらなる補助金の拡充を希望したいところです。
ちなみに、「基礎充電」の環境さえ整えば、購入者は快適なカーライフを送ることができます。心理的ハードルのなかには、「ガソリン給油よりも充電時間が長く、使い勝手が悪い」というイメージがあるかもしれませんが、決してそのようなことはありません。最近のEVの充電時間はどのようになっているのかを調べてみると、それがわかります。
EVの使い勝手はスマートフォンと一緒
現状のEV車の充電時間を調べてみると、テスラのような独自展開の超急速充電網「スーパーチャージャー」を除き、国内の汎用性がある急速充電器はほとんどが出力50kW以下です。車種によって異なりますが、30分充電で100~150km分を走れます。
例えば遠距離運転で東京から大阪へ約500kmをEV車で行ったとしても、出発時点でフル充電しておき、後は高速道路のSA/PAに寄って、休憩のタイミングで充電すれば、ロスなく大阪へ着くことができるのです。
そして、大阪の宿泊地に着いたタイミングで充電しておけば、翌日にはフル充電されており、同様に東京まで待つ時間なく戻れます。高速道路網は、かなりEV充電が整備されていますので、ここはもう安心ですね。
結局イメージとしては「スマートフォン」と一緒です。「家に帰って充電する」「立ち寄った場所で充電する」なのです。
EV充電設備が差別化要素になる
月極駐車場は日本のEV普及率向上においても、大変重要な位置づけであると言えます。今はまだ、オーナー様にとって積極的に充電設備を導入しようという考えに至りにくいと思いますが、補助金の拡充などがあれば、後押しになってくると思います。空きがある区画なら、これを機に検討してみてはいかがでしょうか。募集の差別化要素になるかもしれません。EVを購入しようと思っていた方から大変喜ばれることでしょう。
私たちは不動産会社様とともに、月極駐車場の利活用を研究しています。引き続き、最新情報をキャッチしてお伝えしていきます。