加盟社紹介

年間400件の借地権が付着している土地(底地)を購入 売却には10年以上をかけるケースも 日本一の地主業は、親切丁寧な対応で信頼を獲得

 

底地(そこち)を所有している地主様の中には、借地権者様とのご関係性などに悩んでおられる方もいらっしゃるかもしれません。底地や借主がいる古い賃貸物件など、権利関係が複雑な不動産を扱い、権利調整や不動産再生事業を行っているのが株式会社サンセイランディックです。同社が手掛けている事業の内容や、仕事に対する思いについて、コンサルティング部担当課長の村木彩さんに語っていただきました。

権利関係が複雑な「底地」の
本来の価値を取り戻すサポートを行う

御社の事業内容について教えてください。

弊社は、不動産の中でも底地や借地権、共有持分のように権利が複雑に絡み合っているものや老朽化が目立つけれども第三者に貸しているため建替えができない賃貸物件などを主に扱っています。このような不動産は、現状のままでは買い手が見つけにくく、資産価値が低いとされています。対応方法は、買取、仲介、コンサルティング、管理等様々です。 特に「“底地“のことならサンセイランディック」と言われるほど、「底地」をコアビジネスとしています。「底地」とは、土地の所有者様が第三者(借地権者様)に土地を貸し、借地権者様が建物を建てて使用している状態の土地のこと。権利関係が複雑になっていることが多く、そのままでは、借地権者様が使用してますので、土地の所有者様は自由な活用が困難な状態ですので、その土地は資産価値が低いとされています。そこでサンセイランディックが底地を買取り、借地権者様に売却していく事業をしています。つまり、分かれた権利を一つにすることによって、土地本来の価値を取り戻すことをしています。

なぜ底地は権利関係が複雑になっているのでしょうか?

まず「底地」と「借地権」という、土地を「持つ権利」と「使う権利」に分かれていて、別々の人が所有しているという状態であるからです。詳しく述べれば、「底地」は借地権が付着している土地、「借地権」は借地権者様が土地を使う権利になります。さらに以前は借地権者様の権利を保護するために借地権者様が有利だった法律が平成4年8月に改正されました。そのため、契約時期によっては適用される法律が異なりますので、わかりにくい状態です。またこの不動産は古くから賃貸借契約関係にあるものが多いのですが、契約内容が明確になっていない場合も多くあります。

それはトラブルが起きることもありそうですね。

賃貸借契約書を紛失してしまったなど契約書自体がない場合もあります。土地の所有者様と借地権者様の間で納得していれば、正式な契約書でなくてレポート用紙に書いた紙でも契約自体は有効です。「お互い様」というような気持ちで口約束で交わされたりしたことも。しかし、契約書がないため、実際に権利内容をあまり理解されていない方も、かなりいらっしゃいます。また口約束で交わされたものですと確認しようがないですし、土地の所有者様と借地権者様双方が相続等で代替わりをすると、自然に状況は変わってきます。借りていらっしゃる方側は「実は高く借りているのではないか?」と思いますし、逆に貸していらっしゃる側は「こちらが安く貸しているのではないか?」と思うもの。だからこそチャンスがあればもっと賃料を上げたいとか、建て替えるとなったら、承諾料をたくさんもらいたいなど、いろいろな感情が交差することで、お互いの関係がこじれるのではないかと思います。

サンセイランディックさんは、そんな状況にどのように関わっているのですか?

弊社はまず土地の所有者様と関わり、底地の買取や仲介、コンサルティングのご提案させていただいています。もちろん、借地権者様とのご関係性が良好であったり、適切な地代が得られていたり、分かれている権利が自然に1つになることが想定されるような底地でしたら無理やり手放す必要はありません。しかしそういったご状況ではなく、手離れされた方がメリットのある場合、弊社にお譲り頂けないかご提案をさせていただいています。

人間関係の構築が必要だからこそ
時間がかかる仕事だと思う

現在、御社では年間でどのくらいの土地を扱われているのでしょうか?

借地権の区画数ですと年間400件前後の土地を購入しています。

土地の所有者様から購入し、その後売却までにかかる平均時間はどのくらいですか?

規模によって異なりますが、短いもので1年を事業期間と想定しています。中には10何年弊社が土地を持ち続けているものもあります。だから弊社は土地をお貸ししているという観点で見ると、おそらく「日本一の地主業」かなと思います。長い間土地の所有者であった地主様が借地権者様とご関係性を気づかれていたものを、私たちにお譲り頂くのですから、いきなり「私たちが地主なりました。底地を買ってください」では、絶対応じてもらえません。いきなり「買ってください」ではなく人間関係構築からスタートしますので、やはり時間もかかります。

時間の経過とともに、相手の状況も変わってくるのではないでしょうか?

「購入したい」というご意向のある借地権者様は、弊社が地主になって半年から1年くらいでご購入していただくことが多いのですが、購入の意思があってもその時はご資金を持っていない方も結構いらっしゃいます。たとえば私が入社した当初、千葉県の珍しい地名のところで底地を所有しており、それから10年後に売れた、という話を聞きました。「10年かけて売る交渉をどうやってしたのだろう?」と疑問に思い担当者に聞いたら、土地は欲しいので、「タバコを辞めて貯金して買います」と言われたそうです。それは私の中では印象的でした。タバコを吸いたいと思ったら吸ってしまうのではないかと思いますが、その方は約束を守ってくださったのでしょう。弊社が地主という立場で、「最近どうですか?」といったように担当者が10年間という歳月をかけ借地権者様とのご関係性を築いた結果だと思います。

関係がこじれてしまった地主様からは買わないけれど、サンセイランディックさんが地主になり、冷静になって話し合ったら、買う方がメリットはある、と借地権者様も冷静になるのですね。

こじれている場合はそうですね。しかし良好な関係を築いてきた方の場合にもご配慮は必要で、前の地主様のご意向をしっかり引き継ぐようにしています。良好な関係だった方は、弊社が地主になったことにより、「なぜいきなり不動産業者に売ってしまったのだろう?」と、ご所有されていた地主様とわだかまりが残ってしまうところもありますから。そうならないように、入り口のスタートはかなり気を付けています。

大切な資産に関することだから
信頼いただけるうれしさと責任を感じる

御社と同じようなビジネスモデルの会社は他にもありますか? また、御社の強みを教えてください。

弊社のように底地を購入後借地権者様に分譲するよりも、底地を購入された後に借地権を買い取って、所有権化して更地にするビジネスの方が多いと思います。新たに土地を産み出せる分金額は高くなると思います。そのため金額を重視される方は、そのような事業をされている企業にお売りになられるでしょう。ただ地主様は借地権者様の近くに居を構えられている方が多いので、安心して取引されたい方は、弊社を選んでいただけると考えています。底地の場合ですと、弊社は区画数にもよりますが、事業スキームとして組むのは約1年で、長いものだと2年、3年はかかります。弊社は建物を建てることはあまりしませんので権利調整のみに時間を使うところが弊社の事業スキームだと思います。

村木さんが仕事に取り組むうえでのモットーを教えてください。

お客様に対して親切かどうか。また、仕事に対して丁寧かどうか、です。やはり自分がされて嫌なことはお客様にしたくないですし。特に弊社は形ある商品がないので、人の特徴が結果に結びつくと思います。私は、営業担当者の武器のようなものだと考えていて、そのため「自分の武器はなんだろう?」と考えると、「親切、丁寧」だと思っています。

これからの不動産業界をどのように変えていきたいですか?

コンサルティング業が主流になりつつある今、手数料だけで商売する時代ではなくなってきていると実感します。だからこそ、人として魅力ある人間、武器が多い人でありたいです。たとえば60歳の方が「底地を売りたい」と相談されたとすると、「売る」ということだけではなく、その方が売った後どうするのか、売らないという選択肢も提案出来る人でありたいと思いますし。弊社にご売却頂いたほうが弊社の利益にはなるんですけどね。ご相談をして下さった方と死ぬまで寄り添えるようなその方の生活のお手伝いもサポートできる人になれたらと思っていて。

ある意味、人生の伴走者でありたいということですね。

もちろん会社員なので限界はありますが、そのくらいの想いを持つことが、親切というところにもつながると思いますし。やはりお客さまにジャッジしていただく時に、「分かりました」で終わるのではなく、「村木さんはどちらがいいと思いますか?」と聞かれたら、それが最高だなと思っていて。それは私が思ってることが伝わっていて、最終的に「村木さんに判断してもらって僕は決めたい」と考えていらっしゃるのかなと思うと、大切な資産に関することですので、ものすごく厚い信頼を得たのだと思うのです。だからこそ、私は間違ったことを言ってはいけないし、間違った情報を提供してはいけない。そしてこういった濃密なやりとりを行うことが、私の仕事の特徴なのかなと考えています。

 

 

(構成/文 桂泉晴名)