加盟社紹介

物件の第一印象をダイナミックに変え 効果を出すリニューアルを追求 広告的な看板デザインを目指す企業

 

「人を惹きつけるデザインとは何か?」を問い続け、店舗や施設が与える「第一印象」を広告活動の一つととらえ、「外観」の大胆なリニューアルを行ってきた株式会社サインズスクエア。このノウハウを賃貸物件にも生かし、たとえ古くなったマンションでも賃料アップや退去者の減少など高い効果を上げています。代表取締役社長の西村友宏さんにこれまで手掛けてきた物件の実例や、企業として大切にしているポイントについてお話を伺いました。

あえて看板にこだわらず
真の問題提起を行う

御社の事業について教えてください。

当社は看板事業で創業し、店舗の看板から外装すべてまでを担当し、店舗のリニューアルなどを得意としている会社です。ある時「内装リフォームしてきれいにしているのに、なかなか空室が埋まらない」というお悩みを持っている不動産オーナーの方がいらして、相談を受けました。現地を訪れると、マンションの第一印象がとても暗く感じるのです。部屋の中がいくらきれいでも、その手前でNGになっているのではないかと予想できました。そして外観に少し手を加えたところ、すぐに新たな入居が決まって。このリニューアルをきっかけに、老朽化が進んでいるようなマンションも手掛けるするようになったのです。

具体的にどのようなところに手を加えたのでしょうか?

入り口回りを塗装したり、夜には照明でライトアップしたりしました。色を変えるなどすると、イメージが一気に変わりやすいのです。

もともと看板業からスタートされたということですが、従来の看板業の企業とはどのようなところが違うのでしょうか?

看板業は建築業に属するため、お客さまはパーツをオーダーする、という文化がありました。しかしなぜ看板を変えるか理由を聞くと、お客さまからは「イメージを変えたい」「集客したい」という言葉が出てきたんです。でも私は「看板を変えても、あまりお店にはお客さまは入らない」とずっと思ってたので、「看板以前にこんな暗い感じの入り口だったら、誰も入らないですよ」と率直に申し上げるようにしていたのです。たとえばあるホルモン店から「こだわりのホルモン店なので、それに合った看板を作ってほしい」という依頼を受けたことがありました。しかし外から見ると、大衆居酒店のような雰囲気で、部屋の中で使用している電気も青白く、まったく料理やお酒がおいしそうに見えなかったのです。そこでデザイナーと相談し「看板をつけるよりも、中の電気の蛍光灯の色をすべて変えた方が良いのでは?」と提案することにしました。もちろん、看板を変えるわけではないですから、こういった提案をしても私たちにとっては利益にはなりません。でも私たちはお客さまの成果に貢献するのが仕事です。その時お客さまは予算がなく、「ごめんなさい。今回は看板はやめて、まず電球を変えます」と言われました。しかし1年後にこだわりのホルモン店として有名になり、その後、当社に注文をしてくださるように。今でもお付き合いが続いています。私はそういう仕事をしたいと思います。

その時は利益にならなくても、後々に効いてくるのですね。

はい。私たちは言われた通りの看板を作るのではなく、「どんな目標を達成するために看板を出すのですか?」と「何をしたいのですか?」といったことを尋ねるようにしています。「看板の問題ではないのに、看板を変えたい」という案件については、お仕事をお引き受けしないよう徹底しています。

入り口を塗装して変えるだけでも、こんなにイメージが違って見えます。

弊社のリニューアルによって
退去者が減るという副次的効果も

サインズスクエアの事業は、どのような課題を持っている不動産オーナーさまにフィットすると思われますか?

築25年以上の賃貸マンションで、「空室が多い」「入退去が激しい」「女性の入居者が少ない」といったお悩みをお持ちの不動産オーナーには、高い効果につながりやすいと思います。

御社の施工範囲はどのあたりまででしょうか? またどこを施工すると効果が高いですか?

マンションの前に行ったときに、マンションの顔となる部分。築25年以上のマンションというのは全体的に古く、何もしないと「汚いな」「印象が暗い」と目線が分散していくので、逆に目を持っていくところを作るんです。私たちは「顔」という言い方をするのですが、たとえば入り口にマンション名が入っている場合、そこを顔としてぱっと目線を持っていくようにしています。さらに入った瞬間の印象が全体的に暗いとそこでマイナスになってしまうので、ポイントの壁を作ったりしています。そしてエレベーターがあるマンションは、エレベーターにも手を入れます。最終的に、部屋の前に立ったところまでが当社の施工範囲ですね。

入居者さまからの反応はいかがですか?

共有部分のリフォームなので、住居者全員がメリットを享受できます。その結果、「うちのオーナーはそういったところにも関心を持ってくれている」というのが伝わるのか、退去が減るという結果が出ています。私たちはそれをねらっていたわけではないのですが、オーナーにとっては退去の現象は非常にうれしいことなので、思いもかけない効果だと思います。

御社が実際にリニューアルを手がけた具体例を教えてください。

築年数が古く、ほとんど空室という物件がありました。不動産オーナーが変わり、リニューアルをしたいというお話だったのですが、予算はあまりない。そのため私たちはそのマンションの古さを逆に生かしたリニューアルを行いました。マンション名も懐かしい字体にするなど、レトロ感を満載にしたところ、大学の近くの物件だったので、学生の方が契約してくれるようになり、あっという間に満室になりました。

築年数が長いことを生かし、マンション名の字体をレトロ調にするなど工夫を施しました。

古いからと言ってあきらめないで
アイデアでよみがえらせます

どんなことを大事にして仕事を行っていますか?

弊社の経営の理念は「私たちは自らの感性をもってお客様の成果に貢献します」です。つまりすべての基準は相手にとって成果になるのか、なのです。さらにモットーは「デザインで全ての価値を活躍の舞台へ」です。たとえマンションが古くても、すべてやり直すという考え方ではなく、その時代に作られた良さを見つけ出して、それを徹底的にブラッシュアップして新たな形を作り上げるようにしてます。

最初はリフォームやリノベーション企業が競合になるのかと思ったのですが、ここまでお話を伺ってきて、そういった企業と目指すところが違う気がしてきました。

そうですね。私たちはもともとあまり工事をやっているという感覚は持っていません。「ここが古くさいから変えよう」というより、広告をうっている感覚が強いのです。たとえば「玄関だけ新しくしてほしい」と言っていただいたとして、そこだけ新しくても一時的なものになってしまいますよね。そういったことは仕事として本質的でないと思っています。弊社はあくまで効果があるデザインを追求していますから、クリエイティブにこだわりを持つ企業とは立ち位置が違いますね。

不動産業界をどのように変えていきたいですか?

建物は一度建てると、その後は古くなる一方です。だからこそ今ある建物をもっとうまく使うべきだと思います。そこで大切なのは、斬新なアイデアでしょう。知恵をしぼることで、建物の魅力を長期的なものにしていきたいです。

今後の事業展開の目標を教えてください。

看板というと古いイメージを抱く方も多いと思うのですが、アイデアによっては集客の起爆剤になることもあります。それに看板の施工現場は期間でガラッとイメージが変わるので、とても楽しいんですよ。たとえばマンションの入り口付近の工事をすると、朝出て行ってから夕方に帰った時、まったく違う感じになっていたりする。だから各地で見物人がワーッと集まり、工事で刻々と変わっていく様子を見ている、といったこともしてみたいですね。とにかく面白いことをやっている業界、という認識に変えられるようにしていきたいですし、デザイナーや職人がもっと注目される社会になってほしい。そのため現在は看板のフランチャイズ展開を行い、あと3年くらいで全国にFC店を作り、看板業の中では最大のグループになるのを目標にしています。

最後に不動産活用ネットワークをご覧の読者の皆さんへメッセージをお願いします。

「古くなったからこのマンションを手放そうかな?」と考えていらっしゃる不動産オーナーの方がいらっしゃったら、その前に一度われわれのような企業にご相談いただければと思います。いろいろなアイデアによって物件をよみがえらせることができるので、あきらめずに挑戦していただきたいです。

 

 

(構成/文 桂泉晴名)