加盟社紹介

月極駐車場業務の95%を効率化 ビジネスモデルをITで根本から変え 新たな価値を提供する改革者

 

月極駐車場の集客力アップと管理コストダウンを実現する、日本初の管理会社向けクラウド月極駐車場管理システム「at PARKING 月極パートナーシステム」。さらに年間5万件を超える駐車場希望者の問合せがある月極駐車場検索ポータルサイト「アットパーキング」。これらのサービスを提供しているのが、2000年に設立された株式会社ハッチ・ワークです。新しいサービスを生み出す同社の強みの源泉とは何か。代表取締役社長の増田知平さんに語っていただきました。

ホテルの予約システムをヒントに
月極駐車場システムを開発

株式会社ハッチ・ワークが取り組んでいるビジネスについて教えてください。

もともと弊社はビルのオーナーがお持ちの不動産に対して、テナントを誘致するという仲介事業からスタートした会社です。オーナーに寄り添い、課題をヒアリングしながらサービスを提供していくうちに、時代の移り変わりとともにその内容が変化していきました。現在は月極イノベーション事業とビルディングイノベーション事業が弊社の2本柱になっています。特にメインは駐車場事業。不動産オーナーのバックアップの一環として、「月極駐車場を有効利用したい」と考えていらっしゃる管理会社のご相談にのり、そのビジネスモデルを変えるなどして、最終的に収益アップにつなげています。もう1つのビルディングイノベーション事業は、ビルをお持ちのオーナーに対して、空いている部屋やスペースを貸し会議室やワークスペース、コミュニティスペースに変えて場所を提供し、収益化を図るといったことを行っています。

駐車場事業について、詳しい内容をお伺いできますか。

このビジネスは、10年以上前に私が営業車用の月極駐車場を探していた時に感じた不便さを、何か解決できないものかと調べていた際、ある不動産オーナーとお話したことで課題が明確になり、スタートしたという背景があります。オーナーは「テナントはうまったけれど、駐車場を使ってくれないので駐車場スペースが余ってしまった。なんとか収益化できる方法を模索したいが、今お願いしている管理会社に駐車場単体で募集してほしいと言っても、駐車場1台を決めることには、なかなか動いてもらえない……」とおっしゃっていて、「月極駐車場は探す人も管理する人もオーナーも困っている」と気づき、社会課題として取り組む必要性を強く感じました。何とかこの課題を解決できないかと考えたところ、ホテルの予約システムにそのヒントがあったのです。

どういうことでしょうか?

出張でホテルを予約する際は、スマホで探して「大阪駅前5分/シングル」という条件と値段で決められますよね。そしてスマホで支払いもできる。これは月極駐車場でも応用できるのではないかと思いました。それで月極駐車場のホテル版を作ることで、オーナーや管理会社、利用者が探しやすく、マッチングできる仕組みができるのではないか、ということでスタートしたのが月極駐車場のポータルサイト事業です。

それが月極駐車場検索ポータルサイト「アットパーキング」ですね。

おかげさまで今では日本最大級の月極駐車場検索サイトになっていて、全国の月極駐車場の情報(現在約22万6千箇所)を保有し、駐車場契約をご希望の方からお問い合わせは、年間5万件を超えています。さらに特徴としては、満車の場合は空き待ちの予約ができること。空いた段階で自動的にお知らせメールが届きます。つまりスマホ一台があれば探してそのまま申込・審査・契約と決済ができ、非常に効率化されるわけです。

街のいろいろな場所にある月極駐車場。検索ポータルサイト「アットパーキング」はスマホで検索から契約まで完了できます。

それは大きな変化です。

その一方で、月極駐車場はすべてオンラインにはならず、駐車場に問い合わせ先の電話番号が書かれた募集の看板を掲げる、というオフラインの部分も残っています。そういった電話での問い合わせを弊社が代わりに受け付けるといったような、一連の管理業務を自動化した「at PARKING 月極パートナーシステム」という仕組みも作りました。業務の自動化により、物件情報の募集、審査、契約手続き、賃料回収といった駐車場管理業務の95%を効率化できます。これらのサービスは管理会社向けですので、もしオーナーがお付き合いしていらっしゃる管理会社がいらっしゃれば、ぜひこういったサービスがあることを教えていただければ、稼働率も管理効率も上がり、お互いにWINWINの関係になることができます。

ビルディングイノベーション事業についてもお教えください。

以前、リーマンショックが起こった際に、一気に空室が出てしまい、なんとか空室を埋めたいというご相談をいただきました。方法としては2つあります。家賃の値段を下げて、今まで通りテナントで貸す。しかしそれは結果的にオーナーの資産価値を下げてしまうことになります。もう1つの方法としては、貸し会議室やコミュニティスペース、ワークスペースといった付加価値をつけて、有効活用するという方法。たとえば古い建物だけれど駅近という物件があった場合、人が集まりやすいという特性を使って、貸し会議室にして、今までマンスリーで貸していたものを時間で貸すといったことができます。立地特性を生かしながら、空間提供をしていくという方法を、当社のビルディングイノベーション事業では行っています。さらにここから派生したのが、コミュニティオフィスサービス。1フロア1社にお貸しする方式ではなくて、コミュニティワークスペースとして1フロアを50社にお貸しして、収益をオーナーさんに還元していくというコンセプトのコミュニティオフィスサービスもご提供しています。

ビルディングイノベーション事業では、空室への対処として貸し会議室など空間提供の提案を行っています。

強みを発揮するため
あえて内部にエンジニアを抱える

御社の強みはどういったところにあるとお考えですか?

ITの技術を使ってお客さまを集められる点です。駐車場ビジネスのキーは、検索サイトがあること。私たちは内部でエンジニアを抱え、ポータルサイトを自分たちで作って集客ができます。エンジニア力に絶対的な自信があるので、アイデアの勝負に打って出ることができ、最終的にオーナーに収益化をお約束できるというのが当社の強みだと考えています。

内部にエンジニアを抱えているのはすごいですね。

IT系の会社はそれこそ数多くありますし、特に不動産系はアナログな世界で動いていたので、IT専業の方々にお世話になった方が早いのは確かです。しかし不動産業を深く理解しているIT企業はそれほど多くない。どういうサービスを提供すれば、お客さまの心に刺さるのか。どういう情報を出せばお客さまのお役に立てるのか、といった「勘所」は、不動産業に長く携わっているわれわれが持っていると思うのです。その上でサイトを作った方が良いものが提供できますし、たとえ「少し的が外れた」と思っても、すぐに内部で改善ができます。コストはある程度かかりますが、最終的にメリットの方が大きいと考えています。

仕事をする上で、どんなことを大切にしていますか?

今に満足しないで現状を疑い、「もっといい方法はないのか?」を問い続けるようにしています。ビジネスとは改善の繰り返し。なんとなく「これでいいや」と納得して疑問に思わなければ、当然改善しようという発想は出てきません。新型コロナウイルスの問題が起き、何が起こるかわからない時代になり、ますますこの考え方は重要になってくると思います。

豊かなアイデアの源泉は?

事業は小さなことの積み重ねだと思います。10の新しいことに挑戦しても、下手したらすべて失敗することもあります。もしかすると、100の失敗をしてやっと1つ生まれてくるのかもしれません。失敗し続け、その代わり新しいことを次々にやっていくことによって、豊かなアイデアが生まれるのだと思います。あとはベンチャー企業なので、皆さんが手を付けられないところからやらないと、ナンバー1は取れないだろうな、と考えています。だからこそ、つねに斬新なアイデアを追い求めるのかもしれません。

革新ビジネスアワード2019で弊社が手掛ける業界初の月極駐車場空き待ち予約システム「アキマチ™」が大賞を受賞しました。

今までの「簡単で便利」に加え
「安心」の要素が加わると思う

御社はこれからどんなことを目指していますか?

月極駐車場は、多様な課題解決方法があるのではないかと思います。たとえば地方はクルマ社会ですので、ポータルサイトに地方の物件をのせていくことに力を入れていきたい。そのためには管理会社の協力なくしてはできないので、彼らも一緒に巻き込んで、「at PARKING 月極パートナーシステム」をうまく使っていただいて、全国の駐車場を「アットパーキング」に掲載し、マッチングさせることを考えています。

これからの不動産業界をどう変えていきたいですか?

今までは管理会社や不動産オーナー、駐車場利用者に対して、「簡単で便利」という要素で改善が進んできましたが、今回のコロナによって簡単・便利に対して、さらに「安心」が加わるのではないかと思っています。安心を提供できるということが、この業界に求められているのではないでしょうか。

読者の方へメッセージをお願いします。

われわれが不動産オーナーにもっと情報を提供し、選択の要素を多く持っていただきたい。情報が入ればオーナーご自身が真偽を見極めてベストな選択ができるでしょう。その中でわれわれを選んでいただけたら、こんなに幸せなことはないと思います。

 

 

(構成/文 桂泉晴名)