加盟社リレー寄稿Q&A

コンセプト賃貸をつくった後に企画が真似され、気持ちの整理がつきません。

不動産活用ネットワークは、不動産オーナーのお困りごとに対して最短最適な解決策を提供するために、企業の垣根を越えて協力し合うことを目的とした不動産業のプロ集団です 。 Q&Aコーナーではオーナー様からのお悩みと専門家による解決方法をご説明いたします。

今回のご相談

不動産オーナー
不動産オーナー
時間をかけて情報やノウハウを集め、新しいコンセプトを持った賃貸物件をつくりましたが、しばらくして明らかに真似をされたと思われる物件が出てきました。とても悔しいし、入居者さんを奪い合うことになるのではないかという心配もあります。これはどのように受け止めたらよいでしょうか?
久保田大介
久保田大介
これまでの賃貸市場にはなかった新しいコンセプトを持つ賃貸物件でしたら、潜在顧客はまだまだたくさんいます。真似た方の設備やサービス内容、募集方法などをこちら側でもじっくり研究させてもらえば、自分ひとりでは気が付かなかったことが発見できるかもしれませんし、またその方の失敗から学べることもたくさんあると思います。「自身の物件をさらに磨く材料にしよう」と考えてみませんか?

「ワクワク賃貸」で発案したレストランの厨房並みのキッチンがある部屋のイラスト

真似をされるのが良いアイディアの証拠

良いアイディアは常に真似をされる宿命にあります。特許を取得し、開発者としての利益を確保する方法もありますが、コンセプト賃貸で特許を取得できるようなものは、おそらく少ないはずです。新たに発明するのではなく、「コロンブスの卵」のように「ああ、そういう発想があったか」と人をうならせるようなアイディアは、特許の対象とはなりづらいからです。
しかし、まだ誰も実行したことのなかった新しいアイディアでコンセプト賃貸をつくり、首尾よく成功したあと、それをそのまま真似をされてしまったら、悔しいと思われる気持ちもよくわかります。
当社でプロデュースやコンサルティングをしたコンセプト賃貸でも、あとで同じような物件が出てくることはこれまでもよくありました。運営しているウェブマガジン「ワクワク賃貸」には「ワクワク賃貸研究所」というコーナーがありますが、ここでもよそ様が無断で採用されていったアイディアがいくつかあります。最初は私もカチンときたのですが、わりとすぐに悔しいとは思わなくなりました。最近ではむしろ誇りに思うようになっています。

メゾネットの吹き抜け部分(4畳半大)にアスレチックネットが貼られた「ステープルハウス」

潜在顧客はまだまだいっぱいいます

なぜなら、市場に本当に必要とされているコンセプト賃貸であるならば、同じ企画の物件がいくつか出てきたところで、潜在顧客数にははるか及ばないことがわかっているからです。むしろ世の中にほんのわずかしか顧客がいないようなコンセプト賃貸はつくらないほうがいいですよね。リスクが大きすぎます。
それに賃貸のエリアはとても広いです。同じコンセプトの物件をお隣りにつくられたらちょっと困るかもしれないけれど、他県ならばまず競合しません。同じ沿線でも何駅も離れていればあまり競合相手にはならないでしょう。
断りもなく真似をされて、しかも、さも自分のアイディアのように振る舞われたらムッとするかもしれませんが、どちらが先に考えていたかはわからないから証明するのも難しい。それよりも後述する理由のために、こんな小さなことは気にしないほうが得策だと考えます。

インスタントラーメンを発明した安藤百福さんがなされたこと

「アイディアを真似されるリスク」ということを考えたとき、私はいつも日清食品の創業者である安藤百福さんのことを思い浮かべます。安藤さんはインスタントラーメン(チキンラーメン)やカップラーメン(カップヌードル)を発明した方として有名ですが、インスタントラーメンを世に出した直後、粗悪な類似品が多数発売されました。安藤さんのご商売はそれらに大いに邪魔されましたが、数々の紛争ののち、安藤さんは特許を取得しておられた製法を公開されました。「野中の一本杉であるよりも、森として発展した方がよい」という考え方のもと、技術を公開することで粗悪な品をはじき出し、インスタントラーメンの市場を拡大する道を選ばれたのです。

情報・ノウハウを交換し合って、コンセプト賃貸の質を高める

安藤さんのインスタントラーメンの後にお話するにはスケールが小さすぎる話ですが、私も少し似たような経験をしたことがあります。賃貸住宅の吹き抜け部分にアスレチックネットを張った物件がロシアにあることを知り、日本の賃貸物件でもいつか実現してみたいと思っていたら、クリーク・アンド・リバー社がそれをひと足早く実現されていたことを知ったのです。
先を越されたことを少し残念に思いましたが、でも是非自分の目で見てみたいと思い、同社に連絡したところ、快諾してくださったばかりか、その開発の苦労やコストのことなども教えてくださいました。その後、私のほうでもメーカーや施工会社などを取材し、その結果を教えてさしあげたり、リーシングのお手伝いをさせていただいたりして、とても良い関係を築くことができました。
クリーク・アンド・リバー社の寛容さがなければ、最初にアプローチをした段階で終わっていると思うので、その姿勢からとても大切なことを学ばせていただいたと感謝しています。

DIYしたい入居者さんを応援する賃貸物件「本多マンション」

アイディアや知識をシェアして、新しい市場をつくり出しましょう

不動産活用ネットワークでご一緒させていただいているハウスメイトさんとも「DIY賃貸」という分野でジョイントさせていただいています。同社の伊部尚子さんに「ワクワク賃貸」内の「DIY賃貸推進プロジェクト」というコーナーを連載いただき、入居者予備群の方々にオーナーや管理会社の心理をお伝えしたり、承諾を得やすい申請書の書き方をレクチャーしたりしてもらっています。新しい顧客をともに育て、その数と質をオーナー様たちに知っていただくことで、DIYを歓迎する賃貸住宅を増やしていこうと考えです。
一緒に研究し、ノウハウを編み出す作業を続けていると、ひとりでは気づけなかったことを学べ、同志も増え、活動していることがますます楽しくなってきます。
同じコンセプトで物件をつくろうとする人とは、おそらく感性や考え方がとても似通っているので、良いビジネスパートナーにもなりやすいのではないかと感じます。仲間をつくって新しい市場を創出していく。そのように考えてみてはいかがでしょうか?

 

 

ABOUT ME
久保田大介
久保田大介
合同会社コンセプトエール・代表社員。有限会社PM工房社・代表取締役。 個性的なコンセプトを持った賃貸物件の新築やリノベーションのコンサルティングを柱に事業を展開している。 2018年1月よりウェブマガジン『ワクワク賃貸®』を配信している。