加盟社リレー寄稿Q&A

賃貸アパートやマンションの名称を変更する場合、注意すべき点はありますか?

不動産活用ネットワークは、不動産オーナーのお困りごとに対して最短最適な解決策を提供するために、企業の垣根を越えて協力し合うことを目的とした不動産業のプロ集団です。 Q&Aコーナーではオーナー様からのお悩みと専門家による解決方法をご説明いたします。

今回のご相談

不動産オーナー
不動産オーナー
サインズスクエアの西村友宏社長が書かれた「アパート・マンションの名称変更はイメージチェンジに効果的」という記事を読み、所有するアパートの名称を変えてみたいと思いましたが、どのような名称にしたらいいかわかりません。また入居者さんたちに迷惑をかけそうでなかなか決断がつきません。
久保田大介
久保田大介
アパート・マンションの名称変更は空室対策に効果があるので、前向きにご検討いただければと思います。変更にあたっては、入居者募集に役立つネーミングのコツ、既存の入居者さんへの迷惑を最小限にするコツがありますので、詳しくご説明いたします。

避けたいネーミング

アパート・マンションの名称を変更することの効果については、サインズスクエア・西村友宏社長の記事をご覧ください。今回は、名称変更をする際の注意事項についてお伝えしたいと思います。
はじめに避けたいネーミングからお話しします。
まず築古のアパートに瀟洒な名称をつけるなど、建物やエリアのイメージにそぐわないものはNGです。「久保田ハイツ」などという具合にオーナー様の名前が入った名称も、入居者さんが気に入ってくださる可能性は低いです。また、やたらと長い名称も嫌われます。入居者さんが住所を書かなければならないときに面倒くさいですし、仲介業者さん、管理会社さんからすると口にするのも書くのも億劫です。英語やフランス語などが原語のまま表記された名称も困りもの。オーナー様ご自身は気に入っておられるかもしれませんが、日常生活や業務でその名称を使わねばならない人たちのことを第一に考えてさしあげるべきだと思います。

入居者募集に役立つネーミングのコツ

続いて入居者募集に役立つネーミングのコツをご紹介しましょう。
基本はNGとしたものの逆をいくことですが、一歩進んだコツをここではご説明します。
それは「ネット検索を意識してネーミングをすること」です。最近はSUUMOなどのポータルサイトで物件情報を入手した方が、さらにその物件のことを詳しく知るために、ネットで検索することが多いです。そのとき、建物名称を入力しますが、検索結果にいつまでも表示されないことがあります。よくある例としては、カッコいい英語やフランス語などの単語を使うことですが、レストランや美容院などですでに用いられていることが多く、それらは賃貸物件よりも検索される機会がはるかに多いため、そちらが上位にズラリと並びます。いつまでたっても探している物件が出てこなく、面倒くさくなってほかの物件にいく・・・なんてことにもなりかねません。これを避ける方法はいくつかありますが、簡単なものとしては単語のあとに地名をつける方法があります。レストランや美容院などで名称に地名をつけることは少ないので、検索上位にくるようになります。

造語を使いましょう

しかし、最近は「地名をつけるのはどうも・・・」というオーナー様が増えているようです。そういう方々にお勧めしたいのは「造語」を使うことです。
一例をあげますと、上の写真の「パンカフォッサ」という名称は、イタリア語でベンチを意味する「パンカ」と、土間を意味する「フォッサ」をくっつけた造語です。その物件は室内に広い土間があることと、窓辺にベンチ棚があることが特長で、それをPRする意味もあり、建物名称に盛り込みました。
造語ですから、レストランや美容院などと名前が重なる可能性は極めて低く、当然、ネット検索でも最上位に表示されます。
はじめはしっくりこないことがありますが、徐々に慣れてきて、普通の単語と同じように受け入れられてきます。そもそも、英語はともかく、フランス語、イタリア語などは耳慣れぬ言葉が多いですから、それと同じと考えることもできます。

既存の入居者さんへの迷惑を最小限に抑えるためにすべきこと

空室対策のために名称変更を検討する際、既存の入居者さんにはあまりメリットがないということを認識する必要があります。長過ぎる名称が短くなったり、友達に言いたくないカッコ悪い名称を変えてもらえたりするときは歓迎されることもありますが、郵便物や宅配便が届かなくなることもありますし、友人や知人に変更を伝えるのも面倒。「住民票はどうしたらいいんだろう?」と不安に思う方もいらっしゃるでしょう。ですので、オーナー様としてはその不安をひとつずつ丁寧に取り除いていく必要があります。
まずは市役所や郵便局、宅配業者などへはオーナー様(あるいは管理会社)から連絡をしてあげるべきだと思います。そのうえで不満を和らげるためにしばらくの間(2~3年ほど)は旧名称も表示しておくことをお薦めします。旧名称・新名称どちらで郵便物が送られてきても、きちんと届くよう、新しい館名板のそばに小さくてもいいから旧名称を表示してあげれば、混乱はほとんど少なくなります。

名称変更をする想いを伝える

そして、入居者さんに建物名称の変更を通知するときは、なぜ名称を変えようと考えたのかをしっかりと伝え、新しい名称の由来などもご紹介していただきたいです。
名称変更の動機はオーナー様の都合だけでなく、入居者さんにとってもメリットがあれば、それを伝えます。また新しい名称が入居者さんに共感を抱いていただけるよう、ネーミングの理由を添えるとよいでしょう。
たとえば、私に管理を委託くださっているオーナー様で中古の一棟マンションを購入された際、「アンベリール東山」という名称に変更された方がおられます。「アンベリール」というのはフランス語で「美化する」という意味なのですが、オーナー様は通知文に「これから毎年少しずつ、建物を美しくしていくことをお約束します」とメッセージを添えられました(これは今もきちんと実行しておられます)。こういうメッセージを添えて、新旧両方の名称を使えるようにすることなども伝えれば、入居者さんのアレルギー反応は抑えることができます。参考にしてみていただければと思います。

 

 

ABOUT ME
久保田大介
久保田大介
合同会社コンセプトエール・代表社員。有限会社PM工房社・代表取締役。 個性的なコンセプトを持った賃貸物件の新築やリノベーションのコンサルティングを柱に事業を展開している。 2018年1月よりウェブマガジン『ワクワク賃貸®』を配信している。