加盟社リレー寄稿Q&A

メインの管理会社がコンセプト賃貸の管理には消極的です。なぜでしょうか?

不動産活用ネットワークは、不動産オーナーのお困りごとに対して最短最適な解決策を提供するために、企業の垣根を越えて協力し合うことを目的とした不動産業のプロ集団です 。 Q&Aコーナーではオーナー様からのお悩みと専門家による解決方法をご説明いたします。

今回のご相談

不動産オーナー
不動産オーナー
これまで何棟も管理をお願いしてきた管理会社さんに、現在新築を計画しているコンセプト賃貸の管理を相談したところ、妙に消極的です。先日は家賃査定をお願いしましたが、なかなか動いてくれません。なぜでしょうか?
久保田大介
久保田大介
コンセプト賃貸を管理した経験がないので、リーシングやマネジメントに不安をいだいている可能性が高そうです。コンセプト賃貸の管理には独自のノウハウが必要で、それがないと十分な成果をあげることができませんが、それ以前に新しいものにトライしようとする熱意があることが重要です。しかし熱意を容易に抱けない背景も賃貸管理業界にはあります。このあたりの事情を私の体験談を元にご説明したいと思います。

未知の分野に及び腰だった過去

なぜ管理会社がコンセプト賃貸の管理に消極的なのかご説明するにあたり、はじめに私の失敗談からお話ししたいと思います。私は前職で管理戸数2,500室ほどの中堅管理会社のマネジャーをしていましたが、15年ぐらい前に、とあるオーナー様から小型犬を中心としたペット賃貸の管理を依頼されたことがありました。
犬の足洗い場やドッグランなどもある本格的なペット賃貸で、当時としては先鋭的だったと思いますが、当初管理を委託していた先にいろいろと問題があり、管理を変えたいと相談に見えられました。
しかし私が勤務していた会社は「ペット可」というお部屋すら1室もなく、ペット飼育をコンセプトにした物件の管理など雲をつかむような話で、全く自信なし。スタッフたちに諮りましたが、皆、口をそろえて「無理です」「やめましょう」と言うので断念しました。せっかくお声がけくださったのにゼロ回答では申し訳なく思い、ペット賃貸を得意とする管理会社2社にお声がけし、オーナー様へプレゼンをしてもらう場を設け、1社選んでいただきました。

管理業界は減点主義

なぜペット賃貸の管理をお断りしたのか、自分なりに分析しますと、ペット賃貸のリーシングもマネジメントも未経験だったので、必要以上に恐れてしまったためだと思います。
日本社会は”加点主義”ではなく”減点主義”であるため、新しいものが誕生しづらいという話をよく耳にしますが、管理業界はまさに減点主義に染まっていると私は感じています。家賃回収でもクレーム対応でもきちんと行って当然。ミスをするとオーナー様からの信頼を損ない、いくつも重なってくると管理会社変更を検討されてしまいます。
社内の人事考課もやはり減点主義で、積極的に取り組んだうえでの失敗だったとしても、トライしたことに対する評価はさほどされず、失敗したという結果でもって減点されがちです。
私もご他聞に漏れずこの減点主義に染まっていて、未経験分野にトライしたら、未知のトラブルに次々と見舞われ、その対応に追われるようになり、自分も現場も疲弊してしまうと恐れ辞退しました。私が辞退すると告げたときのスタッフたちの安心した顔が今も忘れられません。

コンセプト賃貸を運営するうえで、管理業務の基本は必須

自分自身がそういう体験をしているので、多くの管理会社がコンセプト賃貸の管理に消極的になってしまう気持ちはよく理解できます。今や、小型犬飼育可の物件管理を依頼されて及び腰になる管理会社はないでしょうが、業界初となるようなコンセプト賃貸の企画を考え、管理会社に相談したとき、私が昔ペット可賃貸で感じたような不安を管理の現場が感じるのは自然のことだと思います。そのため、できることなら引き受けたくない、オーナー様が企画を断念して普通の賃貸物件にしてもらえないだろうか?と考え、ご相談のように家賃査定ですらなかなか着手しないのではないでしょうか?
その状態にしびれを切らし、「だったら自主管理するから、もういい!」と考えてしまわれるオーナー様もいらっしゃると思いますが、リーシングや契約書類作成、クレーム対応など管理業務の基本がないと、応用とも言うべきコンセプト賃貸の運営はとても無理です。無理を通せば入居者さんが迷惑することになりかねません。

コンセプト賃貸の管理にトライ

今では「どんなコンセプト賃貸の管理でも自信を持ってお引き受ける」と考えている私ですが、そのきっかけになったのは、冒頭の失敗体験でした。ペット賃貸を得意とする管理会社のプレゼンに自分も参加したとき、「これは自分の気持ちひとつで取り組める分野だぞ」と感じたのです。「やれるか、やれないか」と考える前に、「どうやったらやれるか」考えればいいだけじゃないかと思いました。管理業務の基本がしっかりできていれば、あとはその応用で、たいがいのことは何とかなるものだと悟ったのです。
しかし、サラリーマン時代は株主の顔色が気になって大胆なトライはできなかったため、まずはペット可や楽器可など、他社の取り組み事例を真似しながら、ちょっとずつトライを重ねていきました。思い切ってやれるようになったのは独立してからです。失敗しても代表者である自分が責任を取ればいいので、減点主義ではなく加点主義であるオーナー様にコンセプト賃貸を提案し、何としても成功させるという気構えで取り組んでいった結果、独自のノウハウを習得していくことができました。

前向きにトライしてくれる管理会社をビジネスパートナーに

おそらくこれはどの管理会社にも言えることで、社長や支店長、管理部門長などのトップが未経験であるコンセプト賃貸のリーシングやマネジメントに取り組んでみよう!と前向きに考え、トライしさえすれば、長年の経験や知識を活かし、どうにかこうにか対応していけるものです。
コンセプト賃貸に取り組まれるオーナー様としては、減点主義にはならず、困った場面が訪れたら、管理の現場と一緒にアイディアを絞り、苦労をともにし乗り切っていくと気持ちを固め、管理会社のトップにその決意を告げるとよいと思います。
そこで意気に感じてくれ、前向きにトライすることを表明してくれるトップがいる管理会社をビジネスパートナーに選んでください。もし、これまでの管理会社のトップが消極的なときは、思い切って新しい管理会社を探したほうが早道です。トライしようとしない管理会社がコンセプト賃貸の管理に成功することはまずありません。オーナー様がチャレンジ精神にあふれる管理会社と出会われることを願っています。

 

 

ABOUT ME
久保田大介
久保田大介
合同会社コンセプトエール・代表社員。有限会社PM工房社・代表取締役。 個性的なコンセプトを持った賃貸物件の新築やリノベーションのコンサルティングを柱に事業を展開している。 2018年1月よりウェブマガジン『ワクワク賃貸®』を配信している。