加盟社紹介

空調設備の大手エンジニアリング企業が 独自の技術を生かして不動産事業に挑戦 新たな環境価値を提供

 

空調設備の技術を主軸とした建築設備の設計・施工や管理・保守等を行う高砂熱学工業株式会社。一見、不動産とは接点がないと思われますが、実は同社ではビルに関する不動産事業も手掛け、空調設備の業界トップの技術力を投入することに加えて、ビル運営に関わる全体的な問題解決にも挑戦しています。不動産事業開発部の須田整さん、大竹亮太さんに同社が展開する不動産事業について、詳しく話してもらいました。

長年培ってきた空調技術を
ビル業界で応用していきたい

御社の事業内容を教えてください。

当社は1923年の設立当初から建物における空調設備と言われている室内の環境の設計やエンジニアリング、設置を生業にしている企業です。特に空調工事は業界のトップ企業と自負していて、今まで施工した物件も、ターミナル駅や著名な大型商業施設を施工できる能力を有している点が強みです。 さらにお客様に価値提供を行う上で、当社の研究所では熱の利用など環境に貢献できるような技術を日々開発していますが、この技術を空調工事以外にも発展させていくことを検討しております。

非常に規模の大きなものを扱っているのですね。

そうですね。ただこれからご紹介する当社の不動産開発事業、プロパティマネジメント事業に関しては、少し違います。当社は今まで大きな施設向けの設備に携わってきたため、これから不動産事業を展開していくにあたっても、大規模クラスの建物だけしか扱わないのでは?と思われてしまいがちです。一方で都内のオフィスビルは90%が中規模以下のビル、しかも築20、30年以上、ある意味バブルの絶頂期前後に建てられたものがほとんど。当社も市場の大きさを意識しながら、その大きな市場ターゲットに向けて事業を展開していく予定です。

御社が取り扱うのは居住用ビルではなくて、テナントビル、オフィスビルということですね。御社の技術は中小規模のオフィスビルに対して、どんなところで役立つとお考えですか?

当社は空調のシステムだけではなく、クリーンルームや最近ではコロナの影響で、感染を防ぎながら患者さんを診断していくという設備なども作っており、例えば「バリフローⅢ」があげられます。

診察する医師が清浄空気で形成されるブース内に入り、受診者の咳・くしゃみ飛沫を遮断するビニールカーテン 越しにブース外の受診者を診察します。ブース外の受診者側の空間も、多量の循環空気によって清浄空間が保たれ、防護と診察作業を両立します。また、HEPAフィルタと大風量により、診察室全体を清浄化します。

そういったものは、不動産事業開発部としてこれから注力する中小規模のオフィスという部分でも提供できるのではないかと考えています。特にコロナをきっかけに、オフィスも新しい生活様式とともに新しい在り方が問われており、「オフィスの分散化」「ワーケーション(workation)」などという新しいキーワードも出てきました。当社の技術を活用すれば、より快適なオフィス空間を作り上げることができます。つまり今まで当社が工事で携わってきた大規模な空間だけでなく、中小規模、さらには個人のオーナー様が保有しているようなビルにフォーカスをして、サービスを展開していきたいと思っています。

今は古い商業地のビルの空室に悩んでいるオーナー様も多いと思いますが、「古いビルで設備を改修したい」という要望にも対応されますか?

はい。実際に昨年当社が購入した物件は築45年のビルでした。テナント様がいる間は丁寧に改修しながら、ゆくゆくは再開発でまた新しく生まれ変わる予定です。一方で築年数が比較的浅いビルに関しては、既存の社会インフラとしてのビルを大切に生かしながら、当社の改修技術や、環境技術の中でも知られていないノウハウを投入して新しいサービスを提供したい。そしてオフィスの在り方に一石を投じることができればいいなと考えています。

設備面だけでない対応で
問題の本質に迫った解決法を模索

御社は所有しているビルのテナント探しといったこともされるのでしょうか?

テナント探しとは別に、すでにつながりのあるテナント様に対するサービスは、さらに充実していきたいと思っています。今、当社が保有しているビルで去年アンケートを実施して、「ビルの運営にどんな疑問があるのか?」「こうしたらいいのでは?」という改善点に関する意見をいろいろいただきました。今年の秋からそうやって寄せられた意見を元に、1階を大規模なリニューアルをして、テナント様専用のラウンジに作り替えるような計画があります。そういったテナント様の快適性と言うところは、当社の目指す環境エンジニアリングにもつながると思いますので、まずはテナント様とその回りの「居心地」という意味での環境の充実を意識してサービスを提供していきたいです。

テナントビルを保有しているオーナー様が、御社のお客様になることはあるのでしょうか?

可能性はあるのではないかと思います。具体的には先ほど申し上げたビルのリニューアルの中で、ビルの共用部にいろいろな情報を映し出す「デジタルサイネージ」の設置を検討しています。それはビルに関してのお知らせや、入居されているテナント様そのものの広告を掲示することができます。すでに「PRがうまくいかない」というテナント様からの相談が1件あります。デジタルサイネージを設置しているビルが都内だけでも200棟~300棟以上ありますので、そういった多くのビルのテナント様に向けて、会社の存在を広告でアピールする。テナントビルを保有しているオーナー様には、そういう形でのビジネスマッチングを推進する、といったテナントサービスを考えています。

「空調の効きが悪い」「エレベーターが遅い」といった設備面での要求ではなく、「テナント様へのPRをどうすればいいのか?」という本業の悩み相談まで集まり、御社はそれに対応しているのですね。

その話も実はこのコロナ禍の中で、賃料減額のご相談から始まりました。賃料を減額して欲しいという背景には、売上の不振など必ず確たる理由があるわけです。貸主にとって一見不利と思われる話であっても、まずはじっくりとテナント様の思いに耳を傾け、根本の原因解決に導くのが本当のソリューションであり、私たちは本質に迫ったビルの運営、テナントさんの普段のお困り事まで目を向けていけたらと考えて対応しています。空気がきれい、見た目が美しいといった表だった環境だけではなく、広い意味での環境に配慮しながら、サービスを提供していきたいです。

相続を受けたオフィスビルの売却先を検討してもらうこともありますか?

あります。たとえば相続案件だと、方針決定まで期限が区切られていたりするので、かなり急ぎでご相談受けたりする場合もあります。またビルの買取に関しても検討しますので、お問い合わせいただければと思います。

ちなみに、ビルの管理のみ請負うこともあるのでしょうか?

基本的に当社はビルを保有するのですが、管理のみ請負う場合にはグループ会社に業務を委託しています。まだ当社は新たな環境価値提供に向けて歩み始めたばかりなのですが、これからもっと活発化していくためにも、いろいろな物件を手掛けていきたいです。ビルの業界は個人のオーナー様にとっては、なかなか情報が入らないと思います。アパートやマンションのオーナー様のように、横々のビルオーナー様同士のつながりで情報を得にくいのです。そういうビルオーナー様の手助けも、今後グループ会社を含めて担っていきたい。ビルを取り扱う不動産会社(プロ)の側からも、業界全体としてもう少し個人のビルオーナー様向けにいろいろな情報を発信する努力が必要なのかなと思います。

昨年度に外勤(施工管理)社員のユニフォームを一新

環境認証制度が整備されている今だから
当社の力が発揮できると思う

不動産事業において、御社にはどんな強みがあると思いますか?

環境性能を向上させることができる点だと思います。これまで環境はお金にならないと言われてきました。しかしこのコロナの問題しかり、もっと環境の価値を見出さざるを得ない世の中になりつつあります。そして環境の価値があまり重要視されなかった理由の1つに、環境性能を上げても「見える化」されていなかったという点がありましたが、現在ビル業界では環境配慮型のビルにはお墨付きがもらえる認証制度がどんどん整備されて、環境価値の見える化が進んでいます。それはやがてマンションやアパートといった住宅分野にも降りてくるはずで、個人でマンションやアパートを持っているオーナー様でも建物の環境に配慮していると、例えば融資を受けたりする場合、高好評価のポイントになってくる、という様な事も予想されます。こういった環境面で対外的にも分かりやすい付加価値を整備する事こそ、当社の力の見せどころ。不動産オーナー様とは、そういったところから接点が生まれることも期待しています。

仕事に取り組むうえでのモットーを教えてください。

問題が発生すると自身の置かれた立場だとか、プレッシャーによって、本来の目的を見失いがちになりますが、そういった時でも、「お客様のために取り組むべきことは何か?」、問題解決の本質に立ち返り考え、やるべき事の軸がぶれないようにしています。

これからのオフィスビル業界をどのようにしていきたいとお考えですか?

今後、環境に対する意識がさらに高まるだろうと予想されていますが、われわれの事業で培ったノウハウなどは、ここで生かせるのではないかと考えています。つねに新しいニーズをキャッチして、それに見合ったサービスをどんどん提供していきたいです。 環境クリエイター・高砂熱学グループは、お客さま、株主・投資家の皆さま、ビジネスパートナーの皆さま、そして、地球で暮らす全ての皆さまの生活がより豊かに持続的に発展していく世界の実現に向けて努めてまいります。

当社CSR活動の中の一つとして2016年から森林保全・再生活動への取り組みを開始し、2018年にはマレーシアで熱帯雨林再生プログラムを実施しています。
茨城県つくばみらい市にある「高砂熱学イノベーションセンター」2020年3月に開設、本社機能の一部と研究施設を集約。展示スペースやカフェレストランを地域に開放しています。

 

 

(構成/文 桂泉晴名)